楳図かずおの名作『神の左手 悪魔の右手』は、ホラー漫画の中でも異彩を放つ衝撃的な作品です。主人公・山の辺想が夢の中で目撃する恐ろしい出来事が現実に影響を与え、周囲を恐怖の渦に巻き込むストーリー。独立した5つのエピソードで構成されています。スプラッター描写も含まれるため、苦手な人はご注意ください。本記事では、物語の魅力や登場人物、特に印象深いエピソードについて詳しく解説します。
作品紹介
あらすじ
全体のあらすじ
主人公の山の辺想は、小学一年生の男の子。周囲から「悪夢くん」と呼ばれるほど頻繁に悪夢を見る彼には、不思議な力があります。夢の中で他人の事件や悲劇を予知し、現実世界に干渉することができるのです。しかしその能力は、人を救う一方で新たな悲劇を招く危険も孕んでいます。想を中心に、家族や周囲の人々が恐怖の渦に巻き込まれていく様子が描かれています。
各話あらすじ
「錆びたハサミ」
想の姉・泉が30年前の事件の呪いが宿った錆びたハサミを見つけたことから、不気味な出来事が次々と起こる。
「消えた消しゴム」
想のクラスメイトが「担任の先生が本当に優しい先生かを確かめるために死に顔を見よう!」と提案してきた。そのまま、担任を殺してしまいます。しかし、翌日、殺したはずの先生が何事もなかったかのように学校に現れて・・・。
「女王蜘蛛の舌」
高品明が想と泉の父に世話になっているお礼として、想と泉を避暑地に招待する。避暑地には、絶世の美女が居て、高品は彼女に夢中になってしまいます。しかし、その美女には、恐ろしい秘密が隠されていた。
「黒い絵本」
いつも絵本を作ってほしいと娘のももにせがまれる父。困った父は、そのたびに殺人を犯しその事を絵本にして、ももに読み聞かせていた。
「影亡者」
泉の同級生・みよ子は、往年の大女優・大森世津子が路上で倒れている場面に偶然通りかかります。それがきっかけで、彼女は「影亡者」という恐ろしい悪霊に取り憑かれてしまう。
おもな登場人物
山の辺想
主人公。夢を通じて未来を予知したり他人と精神的に繋がる能力を持つが、制御はできない。
山の辺泉
想の姉。普段は憎まれ口を叩きつつも弟を思いやる優しい性格。
こんな人におすすめ
- スプラッター漫画を読みたい人:衝撃的なスプラッター描写が随所に登場します。身体の内部から異物が飛び出す場面や、現実離れしたグロテスクな描写は、スプラッター表現を求める読者にはたまらない魅力です。
- 頭を使わずに読みたい人:物語の中心となるのは、シンプルながらも衝撃的なホラーエピソードの数々。伏線や複雑な設定にとらわれることなく、ただひたすら恐怖の展開を楽しめる点が特徴です。直感的に恐ろしさを味わいたい、ストレス発散の一環として怖いものを読みたい方にぴったりです。
- 楳図かずおの恐怖漫画を堪能したい人:楳図かずおといえばホラー漫画の巨匠。本作では、彼の想像力と独特の世界観が存分に発揮されています。夢と現実が交錯する不気味なストーリー、計算しつくされた恐怖描写は、楳図ファンだけでなく、彼の作品を初めて読む人にも強い印象を残すことでしょう。「楳図ホラー」の真髄を体感するのに最適な一冊です。
著者について
楳図かずおは、日本ホラー漫画の第一人者として知られ、『漂流教室』や『わたしは真悟』など数多くの名作を生み出しました。1936年和歌山県生まれ、18歳でデビュー後、『漂流教室』で小学館漫画賞を受賞しました。2024年10月28日逝去しました。
作品解説
恐怖を極めた恐怖漫画
「恐怖」の追及
『神の左手 悪魔の右手』は、楳図かずおがその想像力を最大限発揮し、読者に強烈な恐怖を届ける作品です。物語は現実と夢が絡み合う独特な世界観で進み、ページをめくるたびに不安と戦慄が押し寄せます。
息つく暇もない展開とビジュアルインパクト
物語はとにかくスピード感に満ちています。ストーリーよりも恐怖のインパクトを優先しているように見える構成は、読者を恐怖の渦中に引き込みます。また、緻密で迫力ある描写が次々と展開され、常識を覆す強烈な印象を与えます。
怖いのにどこか笑える奇妙な魅力
恐怖描写の中に突如現れる突飛な展開や意外な要素が、時に「笑い」を感じさせることもあります。理不尽で荒唐無稽な展開が、シリアスな雰囲気の中に一種のコミカルさをもたらしており、これが本作特有の魅力です。
圧倒的エンタメ性
グロテスクな表現や奇抜なストーリーはもちろん本作の核ですが、それ以上に読者を引きつけるのは、物語の「読ませる力」です。唐突なシナリオでもその先が気になり、ページをめくる手が止まらなくなる――そんなエンターテインメント性が作品の中核を支えています。
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楳図かずおならではの独特な世界観と緻密な描写が、読者を一瞬たりとも目を離せない状態にさせる本作は、ホラー漫画の真髄を堪能したい方にぴったりの一冊です。