この記事は、ポール・ギャリコ『猫語の教科書』のコミック版を紹介しています。
『猫語の教科書』は、猫が書いたとされる「人間のしつけ方」を伝授するユニークな本です。猫語の翻訳家ポール・ギャリコによって解読された原稿は、猫がいかにして人間を巧みに操り、快適な生活を手に入れるかを指南するもの。
猫の視点から描かれたこの本は、猫好きにとって楽しめるだけでなく、人間に対する冷静な分析も興味深い内容となっています。この記事では、この作品のあらすじや魅力、そして猫視点から見た人間像について解説します。
書籍紹介
あらすじ
ある日、編集者のもとに届いたのは、文字や記号が入り混じった、まるで暗号のような原稿。その解読を依頼されたポール・ギャリコが驚いたことに、その内容は猫が書いた「人間のしつけ方」でした。
猫たちがどのようにして人間の家に居座り、快適な生活を送るための術を伝授しています。猫が飼い主を操り、理想の環境や食事を得るための策略が描かれており、猫好きにはたまらない視点で展開されます。
おもな登場人物
ツィツァ
このマニュアルの執筆者。タイプライターを使い、猫たちのための知恵を教科書にする。
ポール・ギャリコ
原稿の解読者。ツィツァによる「人間のしつけ方」を解読し、その内容を人間に伝える役割を担う。
作品解説
こういう人におすすめ
この作品は、猫を飼っている人や猫が好きな人にとって必見の一冊です。猫の視点から描かれており、「うちの猫もこんなことを考えているのでは?」と思わせる内容が盛りだくさんです。また、猫を飼っていない人でも、ユーモラスで皮肉の効いた猫の目線を楽しむことができ、物事を異なる視点から考えるきっかけになるでしょう。
猫好きのお友だちにプレゼントするのも最適な漫画です。
原作者について
ポール・ギャリコは1897年生まれのアメリカの作家で、猫を愛することで知られています。彼の代表作『スノーグース』は世界的なベストセラーとなり、また映画化された『ポセイドン・アドベンチャー』の原作者としても知られています。無類の猫好きとしても有名で、猫をテーマにした作品『ジェニィ』も多くの読者に愛されています。彼の観察力とユーモアが、『猫語の教科書(1964年)』にも見事に反映されています。
猫の視点と人間の弱点
この本は、猫がどのようにして人間を操るかに焦点を当てています。猫は、人間が自分の思い通りに動くように巧妙なテクニックを使い、それがどれほど効果的であるかが解説されています。
猫と人間の関係
猫の行動や表情、仕草がすべて計算されているという視点は、猫好きにとっては非常に興味深いものです。この教科書を読むことで、猫たちがどのようにして人間を「しつけて」いるのかが分かり、改めて猫と人間の関係について考えさせられます。
猫が人間を支配するのではなく、むしろ猫に仕えることが光栄だと思わせる描写も、猫好きにとってはたまらない魅力です。
[エッセイ]「猫語の教科書」と一匹の賢い猫様:家族を支配したその秘訣
感想エッセイを書きました。こちら(note)からお読みいただけます。
まとめ
『猫語の教科書』は、猫たちが人間をどのように操っているのかをコミカルに描いた、猫好き必見の一冊です。猫の視点から描かれた独自のユーモアや鋭い洞察力により、猫を飼っている人もそうでない人も楽しめる内容になっています。
猫に「しつけられている」と気づいてしまったとしても、それでも猫たちを愛さずにはいられない、そんな心温まる一冊です。