「父であり、勇者であることの重さ。」
二千年以上も人間を脅かし続けてきた“ねずみ”たち。勇者パイ・ヤンが休暇で帰郷した時、彼を待っていたのは廃墟となった村と、行方不明の妻、さらわれた息子リオ――そして猫mixに変えられてしまった子猫・とらじだけでした。息子を救うため、不器用な父はとらじと共に過酷な旅へ踏み出します。
『猫mix幻奇譚とらじ』は、ねずみとの戦いを背景に織りなされる長編ファンタジーであり、同時に父と子の絆を描いた成長物語です。勇者としての使命と、父親としての責任。その間で揺れるパイ・ヤンの姿は、ただの冒険譚ではなく、人間ドラマとしての厚みを読者に突きつけます。愛らしくも健気な猫mix・とらじの存在が物語を温かく彩り、シリアスな戦いの中にユーモアと癒しをもたらします。
長きにわたり続く本作は、親子の絆を描く物語が好きな人、動物キャラクターの冒険譚に惹かれる人、そして田村由美の人間ドラマに魅了されてきた読者にこそ響く一作。勇者と猫の異色の旅路は、読者の心を熱く、そして優しく揺さぶることでしょう。
作品紹介
あらすじ
二千年以上、人間の天敵として君臨するねずみたち。勇者パイ・ヤンが戦地から休暇で故郷に戻ると、村は壊滅し、妻は行方不明、息子リオは魔法のねずみにさらわれていた。残されたのは、猫mixに変えられた子猫・とらじだけ。息子を救うため、パイ・ヤンはとらじとともに旅に出る。
おもな登場人物
とらじ
リオの飼い猫。魔法のねずみによって猫mixに変えられた。無邪気で人懐っこいが、パイ・ヤンを少し苦手にしている。
パイ・ヤン
王国の7勇者の一人。忠義に厚いが短気な性格。息子リオを救うため戦場を離れ、ねずみを追う旅へ。
魔法のねずみ
動物を半人型のmixに変える力を持つ謎の存在。リオをさらった張本人。
書籍情報（巻数・出版社・受賞歴）
●巻数表記は、Kindle版や文庫版など、入手しやすい流通形態を基準としています。
こんな人におすすめ
本作は、以下のような方に特におすすめです。
- 猫好きな人：猫mix・とらじの仕草や表情が魅力的で、猫あるあるが随所に描かれています。
- 親子の絆を描く物語が好きな人：勇者パイ・ヤンの父としての成長や息子への想いが丁寧に描かれています。
- 長編ファンタジーをじっくり楽しみたい人：しっかりとした骨太の物語を時間をかけて味わえます。
- キャラクターの関係性や成長が好きな人：パイ・ヤンととらじの距離が縮まる過程が見どころです。
- シリアスとユーモアの両方を楽しみたい人：戦いの緊張感とコミカルなやり取りのバランスが良好です。
- 単純な勧善懲悪ではないストーリーを求める人：敵であるねずみにも個性があり、物語に深みがあります。
- 親世代やこれから親になる人：不器用な父親像や家族との関わり方が共感を呼びます。
- 動物キャラクターの冒険譚が好きな人：人型になった動物が活躍するファンタジー要素が豊富です。
- 田村由美ファンの人：田村由美特有の人間ドラマや緻密なストーリー展開を存分に味わえます。
著者について
田村由美。和歌山県出身。1990年に『BASARA』を別冊少女コミックで連載開始し、アニメ化や小説化など幅広く展開されヒット作となる。代表作に『巴がゆく!』『BASARA』『7SEEDS』『ミステリと言う勿れ』などがある。
掲載誌について
月刊フラワーズとは？
『月刊フラワーズ』は、小学館から発刊されている女性向けの月刊少女漫画誌です。創生期から活躍するベテラン作家から新鋭まで、幅広い作家陣が執筆しています。
特徴
王道から個性派まで多彩な作品が揃い、主に30代以上の少女漫画好きの女性を対象としています。
作品解説
勇者と猫の冒険譚 ― 『とらじ』とはどんな物語か
物語の舞台：人間を脅かす「ネズミ」の世界
『とらじ』は、人間を脅かす「ネズミ」との戦いを背景に、勇者パイ・ヤンと猫mixのとらじが旅をする長編ファンタジーです。息子リオをさらった魔法のねずみを追う冒険の中で、父としての葛藤や仲間との絆が描かれます。
2005年連載開始から続く長編
本作は2005年から連載が始まり、長期連載ながらスローペースで進行してきました。現時点での最新刊である14巻は、2025年3月に実に4年半ぶりに刊行されています。
魅力的なキャラクターたち
パイ・ヤン ― 不器用な父と勇者の二面性
勇者として戦場に立つ一方、息子と過ごす時間を持てなかった父親であるパイ・ヤン。父親としての不器用さと葛藤が物語の核をなしています。戦士であると同時に、一人の父としての成長が丁寧に描かれています。
猫mix・とらじ ― 愛らしさと健気さが光る存在
魔法のネズミによって猫から人型へと変えられたとらじは、本作最大の魅力の一つです。愛らしい仕草や「猫あるある」が随所に描かれ、読者の心を和ませます。パイ・ヤンとの距離が少しずつ縮まる過程も見どころです。
個性豊かな仲間と多様なねずみたち
旅の中で出会うキャラクターたちは多彩で、それぞれが物語に彩りを与えます。敵として現れるネズミも単純な悪役にとどまらず、コミカルさや切なさを持ち合わせ、物語に深みを加えています。
読みどころとテーマ
冒険とファンタジーの融合
息子リオを取り戻す旅は、勇者譚でありながら父子の物語でもあります。ネズミとの戦いを軸にしつつも、心温まる場面やユーモラスな描写が織り込まれ、ファンタジー作品でありながら幅広い読者層に楽しめる構成です。
親子の情と成長物語
パイ・ヤンとリオ、そしてとらじの関係性は、冒険以上の厚みを持ちます。父としての成長や、居場所を求めるとらじの心情など、人間ドラマの要素が強く、親世代の読者にも深く響く内容です。
猫好きにも、そうでない人にも
とらじの可愛らしさは猫好きにはたまらない一方、猫派でなくとも冒険と人間模様を楽しめます。シリアスな戦いとユーモラスなやり取りのバランスが取れており、幅広い読者層におすすめできる作品です。
関連リンク
書籍詳細ページ
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