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今市子『岸辺の唄シリーズ』乾いた大陸と水の物語│読む順番と魅力

美しい世界に、残酷な渇きがある
人間と長寿の鬼人が共存する異世界を舞台に、水と運命をテーマに描く『岸辺の唄シリーズ』は、今市子による連作東洋風ファンタジーです。民話のようで、詩のようで、でも確かに漫画にしかできない表現がある。本記事では作品の見どころ、特徴を未読者向けに解説しています。

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作品紹介

「岸辺の唄」シリーズ概要

人間と不死の種族"鬼人"が共存する中華風の異世界を舞台に、水をめぐる運命に翻弄されながら生きる人々を描く連作シリーズ。

主な登場人物

エン

不思議な力を持つ青年。静かな雰囲気の中に、人に寄り添う強さを秘めている。

ジンファ

エンと旅を共にし、魔物退治などの使命を担う仲間。女装が得意。

シリーズリスト(発売順)

  1. 岸辺の唄
  2. 雲を殺した男
  3. 盗賊の水さし
  4. 悪夢城の主
  5. 旅人の樹
  6. 影法師たちの島
  7. 北の皇子と南の魚
  8. 枯れ野の花嫁
  9. 月影の長城
  10. 砂の下の調べ
  11. 白羽の矢を追って

書籍情報

●巻数表記は、Kindle版や文庫版など、入手しやすい流通形態を基準としています。

#10巻以上

こんな人におすすめ

本作は、以下のような方に特におすすめです。

  • 東洋風ファンタジーが好きな人:東洋風の世界観と幻想的な物語を、美しい筆致で楽しめます
  • 民話や伝承が好きな人:おとぎ話に近い手触りの物語が多く、独特の読後感が楽しめます
  • 雰囲気や余韻を重視する人:情緒を優先した語り口で、読後に長く残る独特の余韻が味わえます
  • 再読を楽しみたい人:一読では掴みきれない描写や伏線が多く、読み返すたびに新たな発見があります
  • 『百鬼夜行抄』が好きな人:同じ作者によるシリーズながら異なる魅力があり、また違う一面に出会えます

著者について

今市子(いま・いちこ)

富山県出身の漫画家。1993年にデビューし、代表作『百鬼夜行抄』は妖怪をテーマにした作品で、文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。ホラー、BL、ファンタジー、エッセイなど幅広いジャンルで活躍し、愛鳥家として文鳥を描いたエッセイ漫画『文鳥様と私』も人気です。

作品解説

「岸辺の唄」シリーズとは│水が命を左右する異世界

舞台とあらすじ

人間と、長寿でほぼ不死身の種族「鬼人」が共存する架空の大陸が舞台です。砂漠や山岳地帯が広がるこの世界では、水は極めて希少な存在であり、旱魃や枯れ井戸、消えゆく湖が人々の運命を左右します。各エピソードごとに異なる地域の人物が主人公となり、水をめぐる切実な問題や奇跡が描かれます。

登場するキャラクター

シリーズを通じて、鬼人のエンとその旅の相棒ジンファが要所で登場します。二人は、物語の案内役として各エピソードをゆるやかに繋ぐ存在です。ただし、オムニバス形式の構成上、話によって主軸となる人物は異なります。

「岸辺の唄」シリーズの特徴

各巻完結・オムニバス形式の構造

本シリーズは短・中編の連作短編集です。各エピソードは独立して読めますが、同じ世界観を共有しているため、読み進めるうちに断片的な情報が繋がっていく構造になっています。

民話・伝承に近い語り口

因果関係の説明よりも「情緒」が優先される語り口が特徴的です。夢と現実の境界が曖昧なまま進む展開や、善悪の決着がつかずに終わる結末が多く、昔話や伝承に近い手触りがあります。

繊細な筆致と幻想的な描写

絵は細部まで緻密で、中華風の衣装や建築、砂漠の風景などが丁寧に描き込まれています。鬼人や妖怪的な存在の造形にも独特の美しさがあります。

いま読む理由と読み方のヒント

どこから読むべきか

基本的にはどのエピソードからでも入れますが、シリーズ第1弾の『岸辺の唄』を最初に読むことをおすすめします。この巻でシリーズの世界観の基本、水の希少性、鬼人の存在が自然に紹介されるため、以降のエピソードへの理解が深まります。必須ではありませんが、起点として読んでおくことをおすすめします。

どういう順番で読むか

その後の読み方は自由です。気になったタイトルから気まぐれに読み進め、一通り読み終えてから改めて発売順に読み返すという楽しみ方もあります。もちろん最初から発売順に読むのも問題ありません。ひとつだけ挙げるなら、シリーズ第6巻『影法師たちの島』収録の「星の落ちた場所」は早めに読んでおくと物語の理解が深まります。

難解さを楽しむための心構え

一読では意味が掴みきれないエピソードもありますが、それがかえって再読の動機になるという声は多くあります。すべてを理解するより、世界観に身を委ねた読み方ができる作品です。

ファンからの評価

今市子の代表作『百鬼夜行抄』と並ぶ、あるいはそれ以上に評価するファンも多く、「傑作ぞろい」「色褪せない面白さ」と根強い支持を集めています。一方で、抽象的・象徴的な展開が多いため「取っつきにくい」という声があるのも事実で、ストーリーの明快さよりも雰囲気や世界観を重視する読者に向いているシリーズです。不定期連載のため新刊を長く待つことになる点も、事前に知っておくと良いです。

関連リンク

書籍詳細ページ

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