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引き揚げ体験とは何か|『ちばてつや短編集 エッセイマンガ編』収録内容と見どころ

歴史の教科書が教えてくれなかった話が、ここにある
引き揚げという体験を当事者自身の手で描いた『ちばてつや短編集 エッセイマンガ編』。忘れられていく記憶を、漫画という形で刻んだ一冊だ。本記事では作品の見どころ、特徴を解説しています。

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作品紹介

概要

ちばてつやが幼いころに体験した満州引き揚げのお話が2編。全盛期の仕事場の「あるある」を架空のキャラクターを交えエッセイ調にした短編が1編。
全3編が収録されています。電子書籍版のみですが、安価で買いやすい書籍です。

収録タイトル

  • 屋根うらの絵本かき
  • 家路1945-2003
  • 練馬のイタチ

あらすじ

『屋根うらの絵本かき』あらすじ

この作品は、ちばてつやが終戦直後に中国(旧満州)から日本へ引き揚げた体験を基に描いています。
ちば一家が引き揚げ途中で、父の親友である中国人宅にかくまってもらったエピソードです。

『家路1945-2003』あらすじ

このお話も引き揚げ体験を基に描かれています。
引き揚げで日本に帰れるまで1年。ちば一家は全員が無事に帰国しましたが、多くの人が帰国できずに亡くなります。その中には、ちばてつやの幼い友人も含まれていました。

『練馬のイタチ』あらすじ

「アシスタント募集」広告を見てちばてつやの元にやってきた、漫画ほぼ未経験の伊達銀次。彼が引き起こす騒動に巻き込まれていく物語です。
作品はフィクションですが、多忙な時期のちばてつやの日常生活が描かれています。

書籍情報(巻数・出版社・受賞歴)

●巻数表記は、Kindle版や文庫版など、入手しやすい流通形態を基準としています。

#完結済み #1巻完結

こんな人におすすめ

本作は、以下のような方に特におすすめです。

  • 漫画初心者・漫画が苦手な人: ちばてつやの作品は視線誘導が自然で、「どこを読めばいいかわからない」が起きにくい。ストレスなく最後まで読み切れます
  • 戦争や歴史に興味はあるが重い作品は避けたい人: 素朴で優しい画風のため、つらい題材でもホロリとする程度に留まります。歴史の重みを受け取りつつ、心を折られずに読めます
  • 満州引き揚げについて知りたい人: 教科書には載りにくい「引き揚げ」という体験を、当事者の実話をもとに描いています。知識ゼロでも理解できる入門として機能します
  • 漫画を描いている・描きたい人: コマ割りや視線誘導の手本として読める一冊です。特に『練馬のイタチ』には、漫画家志望者へのメッセージも込められています
  • 短時間で読める作品を探している人: 全3編の短編集で、各話の読み切り感が強い構成です。まとまった時間が取れなくても、隙間時間に読み進められます

著者について

ちばてつや(本名:千葉徹弥)。1939年1月11日、東京都生まれ。戦後に中国から引き揚げ、1956年に漫画家デビュー。1961年に週刊少年誌デビューを果たし、1968年には『あしたのジョー』を連載。社会現象となる大ヒットを記録した。代表作に『ハリスの旋風』『おれは鉄兵』『あした天気になあれ』『のたり松太郎』などがある。数々の賞を受賞し、文化功労者や文化勲章も受章。日本漫画界を代表する巨匠の一人である。

作品解説

「満州引き揚げ」ってなに?

「満州引き揚げ」とは?

第二次世界大戦時中、満州に住んでいた多くの日本人は、戦争が終わるとソ連の侵攻や中国の内戦で危険にさらされました。そこで、日本政府は現地に残っていた日本人の引き揚げを進めました。
しかし、引き揚げは非常に大変で、多くの日本人が物資不足や厳しい環境に苦しみました。家族と離ればなれになることもありました。中には、引き揚げの途中で自決したり、暴行を受けたり、力尽きてしまうなど、多くの死者が出ました。

次世代へ伝える大切さ

「満州引き揚げ」について、知らない人も多いと思います。1984年生まれの私も、あまり耳にしません――単に私が知らないだけの可能性もありますが。
しかし、「残留孤児」という言葉には、聞き覚えがある人もいるかもしれませんね。また、『大地の子』はドラマ化されていたので、知っている人も増えたでしょう。この作品は、引き揚げ途中で残留孤児となり、日本に帰れなかった男性の物語です。

『大地の子』のドラマは、こちらから観えます。

『大地の子』がドラマ化された頃は、「残留孤児」に関する番組もありましたが、最近では見かけなくなってきましたね。このままでは、歴史の闇に埋もれてしまいます。
ちばてつやの短編は、短くて読みやすく、優しいタッチで書かれています。つらい気持ちにならずに、歴史を深く理解する手助けとなるでしょう。ぜひ一度、ご覧になってください。

ふだんはやさしい人たちもみんな「鬼」になってしまう戦争では、敵味方関係なく、加害者も被害者もすべて誰もがみな「犠牲者」です。(中略)戦争を体験した一人として、そのことだけは伝えておきたいと思います。

ーーちばてつや

引用元:『戦後70年 わたしの戦争体験』147ページより

関連リンク

書籍詳細ページ

リンク先で書籍に関する基本情報をご確認いただけます。

ちばてつやの他のエッセイ漫画

あしあと ちばてつや追想短編集

この本は、ちばてつやの自伝的な作品を集めた貴重な一冊です。戦後の中国からの引き揚げを描いた「家路 1945-2003」や、精神的な不調に陥った時のエピソード「赤い虫」、そして漫画の聖地として知られるトキワ荘での交流を描いた「トモガキ」など4編が収録されています。ちばてつやの作品を今までに読んだことがなくても誰でも読めます。
この本にも、『家路1945ー2003』が収録されています。

詳しい書籍解説はこちら

ひねもすのたり日記

ちばてつやの子ども時代から全盛期、現在までを描いた自伝です。その時代を知らなくても、クスリと笑えたり、レジェンド級の漫画家たちの横顔を知ることができます。
戦時中や戦後の話、そして漫画史としても貴重なエピソードが満載です。予備知識がなくても「読める」「わかる」内容なので、誰にでもおすすめできます。また、各話が4ページなので、読むのも楽です。オールカラー本です。
『追想短編集』と内容が被る部分がありますが、こちらの方が詳しく、いろんなエピソードが読めます。ただ、複数巻ある上に一冊1,000円を超えます。でも、それだけの価値はありますよ。

詳しい書籍解説はこちら

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書籍

私の身内の体験談

私の大叔母も引き揚げ者

私の大叔母も中国からの引き揚げ者でした。ちばてつやのように内陸の奥地ではなく、青島ちんたおという海の傍で暮らしていたそうです。父親は海軍のお偉いさんだったため、比較的早く日本へ引き揚げることができたのでしょう。貴重品、それもかさ張るであろう高級な着物を日本へ持ち帰る余裕があったのだそうです。

3歳だった大叔母

大叔母は当時3歳。引き揚げの時の話を聞くと、髪の毛を刈り上げて、男の子の格好をしたそうです。そして、性別を聞かれたときに「男の子です」と答えるよう何度も練習させられたとか。引き揚げ船の中では大人と子供が分けて、乗せられたそうです。

中国からの引き揚げと言っても、暮らしていた場所や地位によって大きな差があったのではないかと思います。もちろん、苦労はそれぞれにあったと思いますが。

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