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『鏡が来た 高橋留美子短編集』:漫画史に残るあだち充との合作も収録

『鏡が来た 高橋留美子短編集』は、1999年から2014年に発表された未収録作品を集めた一冊で、ホラー、サスペンス、コメディ、ラブストーリーなど多彩なジャンルを楽しめます。特に表題作「鏡が来た」や「リベンジドール」は独特の世界観が光り、考えさせられる内容です。また、あだち充との合作『MY SWEET SUNDAY』では、二人の漫画家としての道のりを描いた貴重な内容も収められています。本記事では各作品の概要と魅力を紹介します。

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書籍紹介

概要

1999年から2014年に発表された未収録作品を集めた短編集。収録作のうち4本は青年誌『ビッグコミック』で発表されたもの、2本は少年誌『サンデー』で掲載されたものと、異なる誌面で描かれたバラエティ豊かな作品群となっている。雑誌掲載時のカラーをそのまま収録した、特別感あふれる一冊。

収録作品一覧

鏡が来た(2014)

ある日、中学生の少年と少女の掌に「鏡にしか見えないもの」が現れる。それは人の「邪心」を吸い取り、浄化する力を持つものだった。鏡が現れた者には、浄化する義務が課される。突如与えられたその役目を果たす中で、二人の周囲では奇妙な事件が巻き起こる――オカルトサスペンス短編。

リベンジドール(2013)

崖っぷちの売れない漫画家・油田仙太郎のもとに、呪いの人形・サンジュサマが届く。嫉妬深い彼は、人形の力で周囲を呪おうとするが・・・。漫画業界の裏側をブラックユーモアたっぷりに描いたホラーコメディ短編。

星は千の顔(2010)

人気深夜ドラマ「星は千の顔」の主演女優・星野カナは、酔ったプロデューサーを誤って階段から突き落とし、殺してしまったと思い込み失踪。最終回ロケを目前に、制作陣は彼女を必死に探し回るが・・・。ドタバタコメディ短編。

可愛い花(2003)

結婚半年の主婦・梨花子は、夫の出張直後から届くストーカーまがいの迷惑メールに不安を感じていた。さらに、行く先々で奇妙な花の鉢植えを目にするが、彼女には不気味に見えるその花を、友人たちは美しく香る花だと称賛する。その正体とは――。不気味な花を巡る怪事件を描くホラー短編。

with CAT(1999)

猫嫌いの高校生・周太は、幼なじみ・美弥の愛猫・虎千代に取り憑かれ、片腕が猫の腕になってしまう。5年前の骨折事件をきっかけに疎遠になった二人は、虎千代を成仏させるため協力することに。猫の力を借りながら描かれる、青春ラブ・コメディ短編。『少年サンデー』掲載作品。

MY SWEET SUNDAY(あだち充×高橋留美子)(2009)

『週刊少年サンデー』を代表する漫画家、あだち充と高橋留美子が贈る合作作品。二人が漫画家になるまでの道のりから、初対談、そして近況までを描いた自伝的漫画。「週刊少年サンデー50周年記念企画」として掲載された作品。

書籍情報(巻数・出版社・受賞歴)

●巻数表記は、Kindle版や文庫版など、入手しやすい流通形態を基準としています。

#完結済み#1巻完結#サンデー#ビックコミック

こんな人におすすめ

本作は、以下のような方に特におすすめです。

  • 高橋留美子のファン:彼女の短編作品に興味がある人には必見。長年の活躍と進化が感じられ、彼女の魅力を短編で堪能できます。
  • 漫画史に興味がある人:あだち充との合作は、二人の漫画家としての道のりを描いた貴重な自伝的作品で、漫画史に興味のある人にも非常に有益な内容です。
  • 高橋留美子の青年誌と少年誌の作風の違いを楽しみたい人:本作は、青年誌『ビッグコミック』と少年誌『サンデー』で掲載された作品を集めているため、高橋留美子の作風の違いを楽しみたい人に最適です。

著者について

高橋留美子。1957年10月10日、新潟県生まれ。1978年に『うる星やつら』でデビューし、代表作に『めぞん一刻』『らんま1/2』『犬夜叉』などがある。数々の賞を受賞し、作品は多く映像化された。現在も『MAO』を連載中で、漫画界の第一線で活躍している。

書籍解説

未収録作品を集めた“るーみっくワールド”

単行本初収録の貴重な短編集

本書は、1999年から2014年に発表された短編を収録した単行本未収録作品集です。長年にわたり第一線で活躍し続ける高橋留美子の、短編作家としての魅力を存分に味わえる一冊となっています。

多彩なジャンルが生み出す新鮮な驚き

ホラー、サスペンス、コメディ、ラブストーリーといった幅広いジャンルを描き分け、どの作品も新鮮な驚きをもたらします。

特に、表題作「鏡が来た」は、人の邪心を映し出し、浄化する力を持つ“鏡”をテーマにしたオカルトサスペンス。社会の闇や人間心理を鋭く描き出し、高橋作品の中でも面白い作品となっています。

高橋留美子ならではの世界観

収録作品には、ブラックユーモアが効いたものや、不思議な雰囲気を持つものが多く、高橋留美子ならではの独特な世界観が広がっています。

ホラー要素がありながらもコミカルなシーンが挟まれることで、重くなりすぎず、読後感がスッキリとするのも特徴です。

青年漫画と少年漫画の作風の違いが楽しめる

青年誌と少年誌、異なる作風

本作には、青年誌「ビッグコミック」に掲載された作品が4本、少年誌「サンデー」に掲載された作品が2本収録されています。掲載誌の違いによって作風のバリエーションが生まれているのも、大きな特徴の一つです。

「ビッグコミック」掲載作のダークで大人向けな作風

「ビッグコミック」に掲載された作品では、ダークなテーマや大人向けのサスペンス、ブラックユーモアが際立っています。

  • 『鏡が来た』 … 人間の内面に潜む邪心を描き出すオカルトサスペンス。
  • 『リベンジドール』 … 漫画業界の裏側をブラックコメディとして風刺した一作。
  • 『可愛い花』 … 美しい花に隠された恐怖を描くホラー短編。

これらの作品では、人間の内面の怖さや社会の影を巧みに描いており、読後にじわりとした余韻が残る仕上がりになっています。

「サンデー」掲載作の親しみやすさ

一方、「サンデー」に掲載された『with CAT』では、より親しみやすく、明るい作風が特徴です。

高橋留美子作品らしいドタバタラブコメディで、『らんま1/2』を思わせる軽快なテンポが魅力。

青年誌向け作品と少年誌向け作品、それぞれの違いを楽しめるのも、本書の大きな魅力の一つです。

高橋留美子の“変化と進化”を感じる短編集

収録作品は、約15年にわたる期間に発表されたものであり、その間の作風の変化を感じ取れるのも本作の魅力。90年代の作品では『うる星やつら』や『らんま1/2』のような軽快なラブコメの要素が強く、後期の作品になるほど『犬夜叉』や『境界のRINNE』の影響を受けたダークでミステリアスな雰囲気が色濃くなる。

特に「可愛い花」や「鏡が来た」では、ホラー要素が強まり、人間の欲望や執着心がテーマとなっているのが興味深い。高橋作品は基本的にコミカルな読後感が特徴だが、本作ではゾクッとするような後味を残す作品も多く、新たな一面を発見できると思います。

あだち充とのリレー式合作『MY SWEET SUNDAY』

あだち充との合作『MY SWEET SUNDAY』は、二人の漫画家としての道のりを交互に描いたリレー形式の作品です。この合作は「サンデー」の歴史とも言えるもので、彼らの漫画家としての成長が描かれており、漫画史においても重要な位置を占める内容となっています。
あだち充ファンや高橋留美子ファンはもちろん、漫画史に興味がある人もこの合作だけを目当てに本書を購入するのもおすすめです。それだけの価値がありますよ!

関連リンク

書籍詳細ページ

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