手塚治虫は「マンガの神様」として、その名を不動のものにしました。彼の作品は世界中で愛され、日本の漫画・アニメ文化を形成する上で欠かせない存在です。そんな手塚治虫の生涯を知ることで、彼がどのようにして偉大なクリエイターになったのか、その軌跡をたどることができます。本記事では、手塚治虫の伝記『おもしろくてやくにたつ子どもの伝記16 手塚治虫』を詳しく紹介します。子どもから大人まで楽しめるこの本を、ぜひ読んでみてください。
書籍紹介
こんな方におすすめ
手塚治虫とは?
手塚治虫(1928年 - 1989年)は、日本の漫画家・アニメーション作家です。本名は「手塚治」。彼の功績は、日本の漫画・アニメーション業界に革命をもたらし、今日の日本のポップカルチャーの礎を築いたことにあります。代表作には『鉄腕アトム』、『ジャングル大帝』、『ブラック・ジャック』などがあり、それらの作品は今でも多くの人々に愛されています。
書籍概要
著者について
この伝記本の著者が書いた手塚治虫についての文章は、東京書籍の小学5年の国語の教科書教材として採用されています。
本の構成
この伝記本は、前からも後ろからも読むことができるユニークな構成を採用しています。前半部分では、手塚治虫が小学校に入学した頃から60歳で亡くなるまでの人生を時系列で追っていきます。後半部分では、手塚治虫に関する情報や資料がまとめられており、手軽に彼の生涯を振り返ることができます。
この構成により、読者はどちらの方向からでも興味を持って読み進めることができます。
手塚治虫の主なエピソード
この本で紹介されている手塚治虫のエピソードを少しだけ紹介します。
小学生時代
- 家庭環境:治少年の家は裕福で、父親が漫画好きだったこともあり、家にはたくさんの漫画がありました。治少年は幼少期にいじめに遭っていましたが、家にある多くの漫画が友達との交流のきっかけとなり、彼を人気者にしました。
- ミッキーマウスとの出会い:治少年は、ウォルト・ディズニーのミッキーマウスのマンガ映画に出会い、アニメーションに魅了されました。
- 乾先生との出会い:小学校時代、治少年は乾先生と出会いました。彼は治少年に漫画の才能を認め、自信を持たせてくれた先生です。
- 「手塚治虫」の由来:治少年は小学5年生の時に昆虫図鑑に夢中になり、「オサムシ科」の昆虫に自分を重ね、「手塚治虫」という名前を使うようになりました。
「マンガなら、だれにもまけないぞ。ぼくはもっとマンガをかこう。」
引用元:52ページより
中学生~軍需工場時代
- 昆虫への情熱:治少年の昆虫への熱意は中学時代も続き、学校で「博物班(今でいうクラブや部活のこと)」を作ったり、自作の昆虫図鑑を作るなど、昆虫学への関心を深めていきました。
- 戦時中の経験:太平洋戦争が始まり、学校で軍隊式の訓練が行われ、授業もなくなり、軍需工場での強制労働が始まりました。この時の経験が漫画家になっての粘り強さと忍耐力に繋がりました。
- 医師を目指すきっかけ:戦時中に治少年は、危うく両腕を失いかける出来事に遭遇しましたが、医師に救われたことで医師への憧れを抱くようになりました。また、ひいおじいさんが幕末・明治期の医者だったこともあり、医学への関心が高まりました。※ひいおじいさんをモデルにした『陽だまりの樹』という作品があります。
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戦争の影響:何度も空襲を経験し、その恐怖と苦しみが心に深く刻まれました。のちに手塚治虫はこの体験を基に、多くの作品で戦争の恐ろしさを伝えるようになります。※空襲の時の体験を自伝的漫画『紙の砦』で描いています。
医学時代
漫画家としての活躍
- 『鉄腕アトム』の誕生:手塚治虫は東京の出版社で『ジャングル大帝』の連載を開始しました。連載しばらくして、新しい科学冒険漫画『鉄腕アトム』を連載が始まります。『鉄腕アトム』は17年間も連載が続く大人気漫画となりました。
- 負けず嫌いの性格:手塚治虫は非常に負けず嫌いで、人気のある他の漫画家を名指しで否定したこともありました。しかし、この負けず嫌いな性格が、彼の作品に対する品質へのこだわりを生み出し、結果として高品質な手塚作品が生まれる原動力となりました。
- 悪書追放運動:漫画が子どもの教育に悪影響を与えるという理由で、手塚作品も批判される時期がありました。しかし、手塚治虫はこの批判に屈することなく、さらに創作活動を続け、多くの名作を生み出しました。
- アニメスタジオの創設:手塚治虫はアニメスタジオを設立し、世界初の30分テレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』を制作しました。この試みは大成功を収め、日本のアニメ業界の未来を切り拓く一歩となります。
晩年
「となりへいってしごとをする。しごとをさせてくれ。」
これがさいごのことばになりました。いのちがつきようとする瞬間までも、あたらしい作品を待っている人のために、マンガをかこうとしたのです。引用元:136ページ
伝記の中で光る手塚治虫の人間性
手塚治虫の幼少期のエピソードから彼の性格や考え方がよくわかります。特に、彼が幼少期に出会った「ミッキーマウス」や、学校の先生との出会いが彼の創作活動に大きな影響を与えたことは、読んでいて感慨深いものがあります。さらに、戦時中の辛い経験が彼の作品に反映されている点なども見逃せません。
親子で楽しめる一冊
この伝記本は、親子で一緒に読むのに最適です。子どもにとっては、手塚治虫の成功物語が勇気と希望を与えてくれるでしょう。特に読書感想文の題材としても使いやすく、子どもが感想を書きやすいように工夫された内容が魅力です。
大人にとっては、手塚治虫がどのようにして漫画家の道を歩むことになったのか、その人生のエピソードが時系列で追えるので、彼の作品に親しんだことがある方にとっては興味深い内容です。また、手塚治虫がどのようにして偉大なクリエイターとして成長していったのか、その過程を知ることで、彼の作品をさらに深く理解できるようになります。
他の手塚治虫の伝記
この本も含む手塚治虫の伝記本を3冊比較しました。参考にしてみてください。読書感想文を書くコツも書きましたので読書感想文を書く予定の人は、是非読んでみてください!こちらからどうぞ!
[エッセイ]私と手塚治虫~手塚治虫の伝記を読んで
感想エッセイを書きました。こちら(note)からお読みいただけます。
まとめ
この伝記は、手塚治虫の生涯を知りたい方、読書感想文に挑戦する方に最適な一冊です。子どもから大人まで楽しめるこの本を通じて、手塚治虫という偉大なクリエイターの歩んだ道をぜひ感じ取ってみてください。彼の作品がどのようにして生まれたのか、その裏側を知ることで、手塚作品をもっと好きになること間違いなしです。