知る人ぞ知る本棚

新旧問わず、さまざまなジャンルの漫画を紹介しています。あらすじや読むポイント、情報をまとめてお届け。メジャーな作品よりもマニアックな作品を中心に紹介しています。

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※ネタバレもが含まれている場合もございますので未読の人はご注意ください。

忙しい日々に癒しを―泣ける漫画!『大家さんと僕』の魅力

矢部太郎 手塚治虫文化賞

この記事では、矢部太郎の漫画『大家さんと僕』『大家さんと僕これから』についてご紹介します。
この作品は、第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞したことで話題になり、現在売り上げ発行部数は135万部を突破、多くの読者の心を温かく包み込んだ名作です。お笑い芸人でありながら漫画家としても活躍する矢部太郎が描く、心温まる日常が丁寧に描かれたこの作品は、読む人にほっこりとした癒しを与えてくれることでしょう。忙しい日常の中でふとした人との繋がりを感じたい方におすすめです。
今回は、泣ける名作『大家さんと僕』の魅力を、あらすじや登場人物の紹介を交えながら、詳しく解説していきます。

作品紹介

あらすじ

都内の木造2階建て一軒家。1階に住む大家のおばあさんと、2階で間借り生活を送る芸人の「僕」。上品な大家さんとの日常が織りなす、心温まる物語。忙しい日々の中、少しずつ訪れる別れの予感。そして、「僕」は大家さんの想いを胸に、新しい未来へと歩き出す・・・。

おもな登場人物

大家さん

東京生まれ東京育ちの小柄なおばあさん。上品な物腰で、挨拶は「ごきげんよう」。伊勢丹NHK羽生結弦が好き。
伊勢丹のレストランに行ったり、買い物をしたりする伊勢丹ユーザー。そのあたりのエピソードから大家さんはお金持ちのよう。2018年、『大家さんと僕』連載中にお亡くなりになりました。

僕(矢部太郎

東京生まれお笑い芸人。大家さんの家の2階に間借りして8年。仕事より大家さんを優先してしまうほど大家さん好き。とにかく「いい人」。

のちゃーん

矢部太郎の後輩で、ギャル男風のお笑い芸人。大家さんに気に入られ、「のちゃん」と呼ばれる。草むしりが丁寧な人。

ガサツな関西人の先輩

木下ほうか、石田靖板尾創路ほんこんなど、複数の人物をモデルにしたキャラクター。

作品解説

作者について

作者の矢部太郎は、日本のお笑いタレントであり、漫画家でもあります。吉本興業に所属し、「カラテカ」というお笑いコンビのボケ担当を務めています。父親は絵本作家のやべみつのりで、幼少期から絵を描くことが好き。

こんな人におすすめ

『大家さんと僕』は、忙しい現代社会で心が疲れたと感じる方や、温かい人間関係を求めている方に特におすすめの作品です。物語は、矢部太郎と大家さんの日常を描きながら、時に笑い、時に泣けるエピソードが展開されます。読者の心に深く残るものとなっています。
忙しい日々の中で、ふとした瞬間に心が癒されるような一冊を探している方には、この作品がぴったりです。

手塚治虫のファンクラブ会員だった矢部太郎

矢部太郎は、子どもの頃から手塚治虫に憧れ、ファンクラブにも入会していたほどの熱心なファンでした。手塚治虫の影響を強く受けた矢部太郎は、手塚治虫の書籍『マンガの描き方』を参考にしながら、自身の作風を磨いてきました。

手塚先生には『マンガの描き方』という名著がありますが、(中略)その影響も受けているんだと思います。

引用元:『「大家さんと僕」と僕』30ページより

印象に残るコマと表現

ファンタジーと現実

『大家さんと僕』では、現実の世界に不思議なファンタジー要素が巧妙に織り交ぜられています。たとえば、車が空を飛んだり、大家さんと矢部太郎が本来は別の階にいるはずの家で、天井と床が取り外されて一つの空間にいるような表現をしたりと、現実と非現実が自然に融合しているのが特徴です。
このような表現が、読者にまるで夢の中にいるかのような感覚をもたらし、物語に一層の深みを与えています。

1ページ8コマのリズム感

この作品は1ページに8コマ、1話が4ページという形式で描かれており、矢部太郎の作風に合ったリズム感が生まれています。このコマ割りは、編集長の助言によって採用されたものであり、4コマ漫画とは違った、穏やかなオチを含む構成が作品にぴったりとマッチしています。

大家さんの戦争体験話

3月と8月が好きな大家さん

作中では、大家さんの戦争体験が描かれるシーンが多くあります。例えば、こんなセリフから彼女の気持ちが伝わってきます。
大家さんは、8月が一番好き。理由は、「戦争の番組がたくさん放送されるから」。そして、3月も好き。理由は、「東京大空襲の番組がたくさん放送されるから」。
戦争は彼女にとって忘れられない出来事であり、その記憶を抱えて日常を過ごしていることが、このセリフからうかがえます。

戦争体験を語った想い

矢部太郎が大家さんの戦争エピソードを漫画で描き残したことは、戦争を経験した世代の記憶を次の世代へ伝える大切な役割を果たしているといえるでしょう。大家さんが矢部太郎と出会い、その体験を少しでも共有できたことが、作品にさらなる深みをもたらしています。
そして、大家さんにとっても幸運だったのではないのでしょうか?なんだか運命を感じますね。

参考文献:「大家さんと僕」と僕

テレビアニメ情報

NHKが制作したテレビアニメもAmazonプライムで配信されていますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

[エッセイ]大家さんの思いを未来に~「大家さんと僕」を読んで

感想エッセイを書きました。こちら(note)からお読みいただけます。

まとめ

『大家さんと僕』は、矢部太郎の純粋な視点から生まれた、心温まる作品です。「芸人が描いた漫画なんて」と思っている方も、ぜひ一度手に取ってみてください。しっかり「漫画」であり、心に残る良作品です。

書籍購入はこちらから

このシリーズは全2巻で構成されています。『大家さんと僕』と『大家さんと僕 これから』が1巻と2巻にあたります。
番外編として『「大家さんと僕」と僕』があり、こちらには矢部太郎の漫画作品だけでなく、さまざまな人との対談や著名作家による寄稿も収録されています。裏話も読めるのでおすすめです。

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