この記事は、スケラッコの『大きい犬』を紹介しています。
本作は、2018年に「このマンガがすごい!」オンナ編で第9位に選ばれ、話題を集めたスケラッコのデビュー作『大きい犬』を表題にした短編集です。その後日譚「小さい犬」を含む全7編が収録されており、スケラッコの描く穏やかでやさしい世界が広がっています。日常に潜むファンタジックな出来事を柔らかな線で描き出し、読後に心地よい余韻を残す本作を、ぜひお楽しみください。
書籍紹介
概要
『大きい犬』は、スケラッコのデビュー作を含む全7編からなる短編集です。それぞれの物語は、日常にちょっとした不思議を加えたファンタジックな世界観が特徴で、読者をやさしく包み込むような作風が魅力です。
収録タイトル
- 大きい犬
- 七福神再び
- クリスマス幸子
- 梅・桃・桜
- 彼の友達
- ホーライくん
- 小さい犬
あらすじ
大きい犬
犬好きの高田くんが出会った二階建ての家よりも大きな犬との日々を描く物語。高田くんは犬語を操り、次第に心を通わせていきますが、ある日突然犬が姿を消してしまい・・・。
七福神再び
七福神の一人であるえびすさまが、再び仲間を集めて活動を始めようとする物語。現代に生きる人々と神様たちの不思議な交流を描きます。
梅・桃・桜
異常気象に見舞われる地球を離れ、トーイ星に移住する梅と桃。一方、父とともに地球に残る桜。新天地で家族とともに未来を築く梅と桃、一方で、地球に残り続ける父親と桜は何を守りたいのか?
作品解説
作者について
作者のスケラッコは、京都在住の漫画家・イラストレーター。彼女の作品は、日常の何気ない瞬間に潜む不思議を優しいタッチで描くことに定評があります。また、数々の個展やグループ展での活動を通じて、独自の世界観を表現しています。
掲載雑誌について
本作はリイド社が運営するwebサイト「トーチ」に掲載されました。「トーチ」は、オルタナティヴ(主流に替わる新しいもの)な表現や老後への道筋を探し、発信することを目的にしたプロジェクトとして始まりました。日常から一歩踏み出し、未来を考えるための表現を集めたWebサイトです。
参考サイト:トーチweb
作品の特徴
シュールで不思議な世界観
この作者の作風は、シュールで不思議な世界観が特徴的です。非日常的な設定が多いにもかかわらず、登場人物たちはそれを自然に受け入れており、読者もその違和感が次第に心地よさへと変わっていきます。例えば巨大な犬が街の中にいる姿は、異様な光景ですが次第に当たり前に感じられるようになります。
絵柄には独特の癖があり、最初は読みづらさを感じるかもしれませんが、読み進めるうちにその独特の世界観に引き込まれていきます。
優しさと温かさが心に染みる
物語全体に流れるのは、他者を思いやる気持ちや幸せについて考えさせられる優しさと温かさです。ストーリーは短編ならではの軽快さがありながら、読み終えた後にほのぼのとした気持ちにさせてくれます。また、登場する動物たちの描写がとても可愛らしく、優しいタッチで描かれたキャラクターたちが印象的です。読後には、癒されるような穏やかな気分になれる作品です。
同著者による別作品
まとめ
日常に潜む不思議をやさしく描く作風は、心に残る余韻を与えてくれることでしょう。また、同著者のLINEスタンプも販売されているので、スケラッコの世界を日常で楽しんでみてはいかがでしょうか。⇒購入はこちらから
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