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※ネタバレが含まれている場合もございます。

『鬼』山岸凉子|救いを求めるすべての人へ贈る物語

親を憎んでしまう自分が許せない――
そんな痛みを、抱えたことはありませんか?

この記事では、山岸凉子の傑作『鬼』を紹介します。この作品は、親からの愛情を得られなかった子どもたちが、憎しみと悲しみの果てに「許し」と「救い」へたどり着くまでを描いています。

過去の飢饉時代と現代を交錯させながら、人間の心の闇と、それを乗り越える希望を深く掘り下げた物語です。

「親子関係に悩んでいる人」「心に傷を抱えている人」「救いを求めている人」にこそ届けたい一冊です。この記事では、あらすじや登場人物、作品のテーマや読後感を丁寧にまとめ、あなたが『鬼』を読むべきかどうかのヒントをお伝えします。

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作品紹介

あらすじ

M美大のサークル「不思議圏」のメンバーは、夏休みを利用して岩手県のお寺で合宿することになります。合宿先の寺の住職から、この辺りには酷い飢饉の記録が多く残されていると聞き興味を持った彼らは、調べることにした。

おもな登場人物

葉山あぐり

四人姉妹の末っ子。男の子が欲しかったと日頃から親に言われ続けている。“あぐり”という名前は、「飽きる」という意味の「あく」から来ている(と思われる)。

中沢純司

部長。大寺の息子。

草薙宏

新入生の雰囲気のある美青年。コインロッカーベイビーだった。部長に気のある様子を見せる。

末松

江戸時代、口減らし*1で村の大人たちに穴に閉じ込められてしまった男の子。

書籍情報(巻数・出版社・受賞歴)

●巻数表記は、Kindle版や文庫版など、入手しやすい流通形態を基準としています。

#完結済み #1巻完結#モーニング

こういう人におすすめ

本作は、以下のような方に特におすすめです。

  • 許しや救いをテーマにした作品を読みたい人:単なる悲劇ではなく、「許し」「救済」という希望へとつながるストーリーが展開されるので、心に静かな癒しをもたらします。
  • 心の深い部分に触れる重厚なストーリーが好きな人:単純な勧善懲悪ではなく、人間の弱さや複雑さを丁寧に描いているため、深く考えながら読みたい人に向いています。
  • 歴史や社会背景を交えた物語に興味がある人:江戸時代の「口減らし」という史実を背景に、過去と現代を行き来しながら物語が展開するため、歴史に興味のある人も引き込まれます。
  • ホラー要素と人間ドラマの融合を楽しめる人:恐怖を煽るだけのホラーではなく、心の闇や悲しみを描いた人間ドラマが中心なので、怖さと同時に感動も味わえます。
  • 山岸凉子作品や心理描写に定評のある漫画を探している人:繊細な心理描写と社会性の高いテーマで知られる山岸凉子の中でも、特に読み応えのある作品なので、彼女の作風が好きな人にぴったりです。

著者について

山岸凉子(やまぎし りょうこ)。1947年9月24日北海道生まれ。1969年に漫画家デビューし、『アラベスク』『日出処の天子』『舞姫 テレプシコーラ』など数々の名作を発表。繊細な心理描写と革新的な作風で少女漫画に革新をもたらし、講談社漫画賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞などを受賞。代表作に『妖精王』『青青の時代』などがある。

作品解説

『鬼』の物語構成と主要キャラクターの哀しみ

『鬼』は、過去の飢饉の時代と現代が交互に描かれる構成です。

過去の描写

飢饉の時代、村で「口減らし」のために末の子が集められ、穴に閉じ込められます。彼らは苦しみながら死んでいき、最後に残った末松は鬼となった。そして、子どもの命を奪う存在になってしまう。

現代の描写

現代では、コインロッカーベイビーだった草薙くさなぎと、親から「男の子が欲しかった」と言われ続けるあぐりが描かれています。彼らはどちらも、親からの愛情を受けられず、心に深い傷を負った哀れな子どもたちです。

親への憎しみと哀しみ

末松も、草薙くさなぎも、あぐりも、それぞれの時代で親を憎む哀れな子どもたちとして描かれています。彼らの物語は、親の愛情を求める心と、それを得られないことによる苦しみを鮮明に表現しています。

憎しみの末の救い

鬼となった末松

末松たち「口減らし」をされた子どもたちは、生きたまま穴に閉じ込められました。生き延びるために、彼らは死んだ仲間の屍を食べることを強いられます。
最後に生き残った末松は、自分たちを殺さずに閉じ込めた親を憎み、やがて「鬼」となってしまいました。彼は、皆が死んでしまえばいいと願うようになります。

許しによる救い

親に捨てられた経験のある草薙くさなぎが、末松たちの想いに共感し、憑依されてしまいます。部長の中沢は、「俺が許すから一度、親を思いっきり恨め」と末松に言いますが、末松は自分が地獄行きだと怯えます。
中沢は、末松に「仲間の屍を食べたのは自分が生き切るためであり、仲間も自分らの命を活かしてくれたことを納得している。親も自分たちが生きるために子どもを『口減らし』したのだ。だから、親を許すんだ。人を許せば、自分も許される」と説きます。こうして許された末松の魂は救われました。

『鬼』というタイトル

末松が救われたことで、親を憎んでいた草薙とあぐりも救われます。彼らは自分を許し、過去の苦しみから解放されるのです。
『鬼』というタイトルは、作品のテーマを象徴しています。鬼は人間の内なる憎しみや絶望を表し、他人を受け入れ、許さない限り、人は鬼になってしまいます。このタイトルは、許しと受け入れの重要性を強調し、読者に深い考察を促します。

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#山岸凉子

*1:口減らしとは?・・・家計の負担を減らすために、養うべき対象を家から出して家族の人数を減らすこと。この作品では、おもに口減らしのために親が子どもたちを死なせています。