『プリンタニア・ニッポン』は、家庭用の生体プリンターから出力された謎の生物と共に暮らす青年の、ちょっと不思議でシュールな日常を描いたSFコメディです。新種生物「プリンタニア・ニッポン」と名付けられた生き物との共生を描く本作は、日常のほのぼのとした雰囲気と、ディストピア社会という深い設定が融合した独特の世界観が特徴です。この記事では、作品の魅力やキャラクター、さらにその世界観について詳しく紹介していきます。
作品紹介
あらすじ
『プリンタニア・ニッポン』の物語は、地形設計士の佐藤が、生体プリンターで柴犬を作ろうとするところから始まります。しかし、彼はプリンターの操作を誤り、まるで素体のような不思議な生物を出力してしまいます。その生物は新種として「プリンタニア・ニッポン」と登録され、佐藤は「すあま」と名付けて飼うことを決意します。すあまとの日常を通じて、徐々に管理された社会や不穏な要素が浮かび上がってくるSFコメディです。
おもな登場人物
佐藤46
主人公。柴犬を作ろうとした生体プリンターから、謎の生物「プリンタニア・ニッポン」を出力してしまいます。
すあま
佐藤が生体プリンターで出力した新種生物「プリンタニア・ニッポン」の一体。光合成で栄養を得るが、それだけでは足りずざらめからも栄養を得る。
nn266e38
佐藤専属の生活改善コンサルタント。日常生活にアドバイスを提供し、行動を指導します。
塩野1
佐藤の友人。
監視猫
この世界で警備や治安維持の役割を担うロボット。常に住民を監視している存在。
こういう人におすすめ
- すこし不思議(SF)の要素を楽しみたい人
- ほのぼのとした日常とダークな世界観の組み合わせが好きな人
- ディストピアの設定が好きな人
作品解説
ディストピアな世界観
ディストピアとは?
ディストピアとは、理想郷(ユートピア)の逆で、一見平和に見える社会が、実は厳しい管理と監視によって成り立っている社会を描いたものです。個人の自由が奪われ、すべてが政府やAIによって管理される。
この作品の世界は、現実の現代社会にも通じる部分があり、「こんな社会は嫌だ」と感じさせる未来像を描いています。
ほのぼのタッチ✕管理社会
『プリンタニア・ニッポン』は可愛らしい絵柄とほのぼのとした雰囲気が特徴ですが、その背景には管理社会の要素が散りばめられています。登場人物たちは番号で管理されており、外の「汚染領域」や個人の「評価」システム、友達を作る際の登録制度などが存在します。
穏やかな日常の中に見え隠れする監視社会の恐ろしさが、作品の独特な魅力を生み出しています。また、戦争の影などダークな要素も⋯⋯。
BIG CAT WATCHING YOU
「BIG CAT WATCHING YOU」とは?
「BIG CAT WATCHING YOU」は、主人公の佐藤の部屋のディスプレイに表示されている言葉で、直訳すると「大きな猫があなたを見ている」という意味です。これは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』で登場する「Big Brother is watching (you)」(ビッグ・ブラザーはあなたを見ている)のパロディです。このフレーズは、政府や有力者がすべての人々を監視しているという状況を象徴しており、作品内では「ビッグ・ブラザー」が「BIG CAT」に置き換えられています。
参考URL:"big brother"の意味・使い方|英辞郎
注目しておきたいワード
この言葉が登場するシーンは、1巻の22ページで、佐藤の部屋の壁のディスプレイに表示されています。
このワードは、管理社会の暗示として重要な意味を持っていると思われます。見逃しそうですがゼヒ、ここはチェックしてみて下さい。
[エッセイ]『プリンタニア・ニッポン』を通して考える、監視社会とマイナンバー制度
感想エッセイを書きました。こちら(note)からお読みいただけます。
まとめ
『プリンタニア・ニッポン』は、SF(すこし・ふしぎ)な日常を描きながらも、ディストピア的な管理社会がテーマとなった作品です。かわいらしいすあまとの生活を楽しみながらも、作品全体にはどこか不穏な空気が漂っています。日常と監視社会という対比が見事に描かれているこの作品は、SFやディストピアが好きな方に特におすすめです。
書籍購入はこちらから
[PR]漫画全巻ドットコム [PR]総合電子書籍ストア【楽天Kobo】
[PR]楽天ブックス
[PR]オーディオブック配信サービス