この記事は、山岸凉子による『わたしの人形は良い人形』の紹介をしています。
戦後の日本を背景に、人形にまつわる怨念と恐怖を描いたホラー漫画です。この作品は、複数の時代をまたぎ、呪われた市松人形を中心に展開する、悲劇と恐怖の連鎖を描いています。
山岸凉子らしい緻密な描写と心理描写が際立ち、読者を深い恐怖へと引き込む作品です。
作品紹介
あらすじ
『わたしの人形は良い人形』は、昭和21年、31年、そして60年の三つの時代にわたって展開します。
物語は、昭和21年、主人公・野本陽子の母、姿子の姉である初子が事故で亡くなるところから始まります。初子の死後、隣家の竹内千恵子の母親が大切にしていた市松人形を副葬品として供養しようとしますが、野本家の祖母が欲を出し、人形を隠してしまいます。この行為がきっかけで、千恵子もまた事故で命を落とし、二人の少女の怨念が市松人形に宿ることになります。
物語はさらに30年後、主人公・陽子がこの呪われた人形を見つけ、恐怖の連鎖が再び始まるという内容です。
おもな登場人物
野本陽子
主人公。高校生になったばかりの普通の女の子。家族と共に祖母の家に引っ越し、市松人形を見つけたことから恐怖の体験が始まる。
野本姿子
陽子の母親。姉の死をきっかけに数々の悲劇を経験するが、唯一、市松人形の呪いを免れている。
野本初子
姿子の姉。昭和21年に事故で亡くなり、その怨念が市松人形に宿る。
竹内千恵子
姉妹の幼馴染で、初子の死後、川で溺死してしまう。彼女の怨念も市松人形に宿る。
竹内陽(ミナミ)
主人公の同級生で霊感の強い美少年。市松人形の秘密を知っている。
作品解説
市松人形に込められた怨念
市松人形に宿った二人の少女の怨念が、物語の中心にあります。野本家の祖母が人形を隠したことが、二人の少女の怨念を強め、後に彼女たちの命を奪い、その呪いが世代を超えて続く悲劇を引き起こします。
戦後の日本と物質的な執着
この作品では、戦後の日本の物質的な欠乏が重要なテーマとなっています。立派な市松人形は、何もない時代にあって特別な存在であり、その執着が人形に強い怨念を宿らせます。物質的な欲望がどのように人間を蝕むかを、ホラーというジャンルを通して鋭く描写されています。
恐怖の源としての無意識
人形に憑いた怨念は、もはや誰の意思でもなく、ただ「欲しかったものを手に入れたい」という純粋で無垢な欲望が暴走したものです。この無意識の力こそが、物語全体に不気味さと恐怖を与えています。無意識の欲望が引き起こす恐怖を、登場人物たちの心理描写を通じて効果的に表現されている。
「人形にとり憑いているのは その二人であって もはやその二人ではないんだ(中略)与えられる物を与えられなかった子供の恨み・・・怨念でしかないんだよ」
引用元:あすかコミックス版93ページより
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子どもの頃、あまりの恐怖に本棚の奥にこの本を置いて見えないようにしていました(笑)それだけ怖かった漫画です^^;