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宮崎駿が描く『天空の城ラピュタ』のメッセージとは?子どもたちに向けた冒険ファンタジーの魅力

『天空の城ラピュタ』の伝えたいメッセージをわかりやすく解説!シータとパズーの成長物語

天空の城ラピュタ』は、1986年に公開されたスタジオジブリ制作のアニメーション映画で、宮崎駿監督が原作・脚本・監督を務めた作品です。
少年パズーと少女シータが、伝説の浮島「ラピュタ」を巡って冒険を繰り広げる姿が描かれています。本記事では、物語の簡単なあらすじや登場人物、さらに本作で伝えたいメッセージや登場キャラクターの詳細について解説します。また、『天空の城ラピュタ』をより楽しむための関連書籍も紹介します!

作品紹介

あらすじ

空に浮かぶ伝説の島ラピュタを目指す少年パズーと、空から落ちてきた少女シータが繰り広げる冒険物語です。
パズーは亡き父が見たというラピュタの存在を信じ、いつかその島に行くことを夢見ている。シータはそのラピュタの王位継承者であり、彼女の持つ「飛行石」は不思議な力を秘めていた。
二人は軍や空中海賊ドーラ一味に追われながらも、共にラピュタを目指す!

おもな登場人物

パズー

本作の主人公で、見習い機械工として働く少年。父親がラピュタを発見したものの信じてもらえず、彼自身もラピュタへの夢を追い続けている。年齢は、十二、十三歳くらい。(声・田中真弓

シータ(リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ

ラピュタの王族の末裔で、飛行石を持つ少女。村で平穏に暮らしていましたが、ムスカ率いる国防軍に狙われ、空から落ちてパズーと出会う。
パズーと同じく十二、十三歳と設定されている。(声・横沢啓子

ドーラ

空中海賊のリーダーで、シータとパズーを助ける存在。年老いているが、若いころから大胆で強い女性。彼女の息子たちも空賊として活動している。六十歳手前くらい。(声・初井言榮

ムスカ(ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ

軍の特務機関に属し、ラピュタの秘密を追う冷酷な男。彼もまたラピュタの血を引いている。(声・寺田農

作品解説

伝えたいこと

子どもたちのための冒険ファンタジー

宮崎駿監督が『天空の城ラピュタ』を通じて表現したかったものは、「心をほぐし、楽しみ、喜びを与える映画」。この作品を通じて、特に若い観客たちに、笑いと涙、友情、そして自分の信じるものに向かってひたむきに進む少年の熱意を感じ取ってもらうことを重視していた。
また、宮崎駿はアニメーションの本質が「子どものためのもの」であることを大切にしており、同時にそれが「大人も楽しめる」ものであるべきだと考えています。『ラピュタ』のような冒険活劇ファンタジーのジャンルは、日常の抑圧から解放され、視聴者の心に人間の根本的な価値を強く刻む力があると宮崎駿は考えていたようです。

シンプルで力強いテーマ

宮崎駿は『天空の城ラピュタ』のテーマを「男の子が女の子と出会って、一肌脱ぐ話」と、物語がシンプルであることを語っている。冒険を通じて登場人物たちが成長し、友情や信頼を築きながら困難を乗り越えていく様子が描かれています。このシンプルさこそが、子どもたちが理解しやすく共感できる要素であり、物語の核心をなしています。
作品全体を通じて、視聴者はパズーとシータの成長や冒険を通じて、純粋な心と信念の強さを感じ取ることができるよう設計されています。

この「シンプルさと力強さ」を持つテーマは、視聴者の年齢や経験を問わず共感できる普遍的なメッセージを伝えています。そして、それは時代が変わってもどんな世代にも受け入れられるものを目指しました。

『天空の城のラピュタ』の目指すものは、若い観客達が、まず心をほぐし、楽しみ、よろこぶ映画である。

――宮崎駿(企画覚え書き)

引用元:ブリの教科書(2)82ページより 

シータとパズーの絆

シータとパズーの関係の変化

シータとパズーの関係は、物語の進行とともに大きく成長します。最初に出会った時、パズーはシータを「守るべき存在」として捉えていました。
親方の家に逃げ込んだ際、親方の妻の「守っておやり」という言葉が、パズーに「シータを守らなければならない」という強い決意を芽生えさせます。

パズーの成長と再起

ムスカに金貨三枚でシータと別れさせられた後、パズーは自分の無力さを痛感しますが、ドーラに一括され、再び立ち上がります。ドーラの一言で「シータを助け出す」とパズーは、シータとの救出と、再会を目指します。
シータも物語の中で困難を乗り越え成長し、最初は「守られる存在」だった彼女も、やがてパズーと共に困難に立ち向かう「同志」となります。

けれど彼らがともにその試練をかいくぐることの本当の意味は、(中略)手と手を重ねて滅びのまじないを口にする、あの究極の信頼へと二人の関係を育てていくことだったのではないかと私は思うのである。

――森絵都

引用元:  ブリの教科書(2)27ページより 

ドーラについて

ドーラのモデル

ドーラのキャラクターは、宮崎駿の母親がモデルです。宮崎駿は四人兄弟の次男で、彼の母親は病弱ながらも、精神的に非常に強く、彼にとっても大きな存在でした。その母親の迫力やエネルギーを、ドーラというキャラクターに反映させています。

ドーラの家族について

三人の息子

ドーラには、長男シャルル、次男ルイ、三男アンリという三人の息子がいます。彼らもまた海賊団の一員として活動しており、母親であるドーラに忠実に従っています。

ドーラの夫

ドーラの亡くなった夫は発明家であり、彼の遺した発明品、例えばタイガーモス号やフラップター(羽ばたき機)といった乗り物は、海賊団の活動において重要な役割を果たしています。これらは、ドーラの家族愛と過去のドラマを示しており、彼女がただの空賊ではなく、深い背景を持つキャラクターであることを強調しています。

メソメソするんじゃないよ!もっとイイ船をつくりゃあいいんだ!

――ドーラ

引用元:『天空の城のラピュタ』本編より

ロボット兵について

天空の城ラピュタ』に登場するロボット兵は、その圧倒的な存在感と印象的なデザインで多くの視聴者の記憶に残っています。興味深いのは、このロボット兵が『ラピュタ』よりも前に、アニメ『ルパン三世 PART II』の最終回「さらば愛しきルパン」にも登場している点です。このエピソードで登場したロボットは、まさに『ラピュタ』で描かれるロボット兵の原型とも言えるもので、宮崎駿が以前からこのデザインに対して強いこだわりを持っていたことが伺えます。

参考文献:ブリの教科書(2)

書籍紹介

ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ

作品の制作背景や宮崎監督の意図を深掘りするための必読書です。映画をより深く理解するために、この書籍を参考にすることで、新たな視点を得られるでしょう。
この記事もこの本を参考にさせてもらいました。ナビゲータの森絵都の寄稿文が個人的におすすめです。

天空の城ラピュタ スタジオジブリ絵コンテ全集〈2〉

この書籍は、映画制作時に描かれた絵コンテを集めたもので、細部に至るまでの宮崎監督のビジョンを感じ取ることができます。中には、監督のボヤキなんかも・・・。ファン必見の一冊です。

文春ジブリ文庫 シネマコミック 天空の城ラピュタ

小説 天空の城ラピュタ

[エッセイ]ラピュタに残された小動物たちとムスカの最期

感想エッセイを書きました。こちら(note)からお読みいただけます。

まとめ

関連書籍を手に取ることで、映画の新たな側面が見えてくるかもしれません。是非これらの情報をもとに、もう一度ラピュタの世界を楽しんでみてください。

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