この記事は、萩尾望都の『11人いる!』を紹介しています。
今現在もコンスタントに作品を発表する漫画界のレジェンド・萩尾望都によるSF名作漫画です。1975年に発表された漫画で古臭いかもしれませんが、今も十分面白い作品です。いろんな作品に影響を与えた名作です。
作品紹介
あらすじ
宇宙大学の最終テストは、外部と隔絶された宇宙船・白号で53日間生き延びること。1チーム10人のはずが、11人が乗り込んでいた。主人公タダたちは、たくさんのトラブルと直面していく・・・。
おもな登場人物
タダトス・レーン(タダ)
テラ系シベリース出身の真面目な少年で、少々押しに弱い。シベリース(星)特有のテレパスに似た「直感力」という能力を持つ。
フロルベリチェリ・フロル(フロル)
雌雄未分化の両性体の種族。宇宙大学に合格したら、男性になれるという約束で試験に挑んだ。
作者について
作者・萩尾望都といえば『ポーの一族』や、『トーマの心臓』が有名ですよね。タイトルだけは、聞いたことがある人もいるのでは?1996年に菅野美穂主演でドラマ化された『イグアナの娘』の原作者でもあります。
今現在もコンスタントに作品を発表している漫画界のレジェンドです。
スペース・オペラの傑作
『11人いる!』は、スペース・オペラとしての傑作だと思ってるんです。
ーー手塚治虫
引用元:マンガのあなた*SFのわたしより
対談集の手塚治虫の言葉から引用しました。無知な私は、「スペース・オペラ」なるものを知りません。調べてみると、SFのサブジャンルで、宇宙を舞台にした活劇で、メロドラマ的要素が含まれたものなのだそうです。
『スター・ウォーズシリーズ』や『ガンダムシリーズ』などが、このジャンルになるそうです。
参考URL:スペースオペラ - Wikipedia
時代背景から読む
男社会が当たり前の時代
大学を受験するというので、男の子ばっかりでグループになるんです。(中略)当時、社会は男性が支配している、男性社会はすごいと思って生きていた私は、宇宙大学の受験生は、圧倒的に男性が多いという設定にしちゃったんです。
ーー萩尾望都
引用元:紡ぎつづけるマンガの世界63ページより
まず、最初に萩尾望都は1949年(昭和24年)生まれ。終戦した年から4年後の生まれになります。ですので、こういう考え方がごく一般的です。
この『11人いる!』が発表されたのは、1975年。その当時でも、男しかいないのは「おかしい」という声が女性読者から出ていたのだそうです。
令和の今は・・・?
「おかしい」というのは、確かなのですが結局、2024年となった今だって「男社会」なのは変わらないんですよね。「リケジョ(理系女子の略)」というような言葉があるように、理系を好む女性は珍しいという社会の認識です。
「大学に行くのは男だろう」という考えは、いけなかったと仰っていますが、今もそこまで言うほど、変わらないように思います。
作中では、両性体で見た目が女の子のフロルを見た受験生たちが、「女性が最終試験に?!」と驚きます。今だって、難しい試験に女性が残っていれば、実際に言葉にしなくても内心では「なぜ女性が?!」と思う人が多いのではないのでしょうか。それも同じ女性も、そういう感想が自然と出るのではないのでしょうか?「女性なのに、すごい!」とかね。
まとめ
『11人いる!』じゃなくても、描かれた時代の社会背景を考えながら、漫画を読むのをおすすめします!違った視点で読めますよ。
「今風」にアレンジした、ご本人によるリメイクがあったら読んでみたいですね!