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被爆から80年を生きた人の声│『平和のうぶごえ』が今を生きる人に響く

前を向く理由を、この本が教えてくれる
差別も病も喪失も越えてきた「原爆の子」の軌跡『平和のうぶごえ 「原爆の子」として生きた80年』。 どんな状況でも生き直せると、背中を押してくれる一冊。 本記事では作品の見どころ、特徴を未読者向けに解説しています。

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書籍紹介

概要

9歳で爆心地から1.6kmの場所で被爆し、後に手記集『原爆の子』の執筆者となった著者が、戦後80年の軌跡を綴る。被爆の瞬間だけでなく、差別や病と闘い続けた自分と仲間たちの人生を見つめた、次世代への静かなメッセージ。

こんな人におすすめ

本作は、以下のような方に特におすすめです。

  • 原爆・戦争について学びたい人:被爆の「瞬間」だけでなく、戦後80年の生活・差別・苦難まで一冊で把握できます
  • 歴史を「生きた言葉」で受け取りたい人:教科書的な記述ではなく、当事者本人の肉声に近い文章で読めます
  • 生きることに息苦しさを感じている人:極限の状況を生き抜いた人たちの言葉から、力をもらえます
  • 平和について自分なりの考えを持ちたい人:悲惨さの告発ではなく「何を伝え、どう生きるか」を問う内容なので、読後に自分の言葉で考えやすいです
  • 一次資料や証言集に興味がある人:戦後5年の手記や後年の証言も収録されており、時代ごとの記録を比較しながら読めます

著者について

早志百合子(はやし・ゆりこ)

(1936−)広島市生まれ。9歳のとき爆心地から1.6kmの自宅で被爆。中学3年時に手記が『原爆の子』に収録される。その後、執筆者らによるグループ「原爆の子きょう竹会」の会長を務め、『原爆の子 その後』の編纂・刊行にも携わる。

内容解説

『平和のうぶごえ』とは|被爆の「その後」の証言

9歳で被爆した「原爆の子」の80年

『平和のうぶごえ 「原爆の子」として生きた80年』は、広島で被爆した早志百合子さんによる回想録です。本書の中心にあるのは、1945年8月6日の被爆体験だけではありません。原爆によって人生そのものがどう変わったのか、その後の80年を通して描いている点に特徴があります。

「原爆の子」として生き続けた戦後

本書が重視しているのは、被爆直後よりもむしろ戦後です。著者は中学生の頃、手記集『原爆の子』に体験を書き残しました。その後も「原爆の子」の執筆者たちと交流を続け、互いの人生を見届けていきます。そこでは原爆症だけでなく、結婚や就職での偏見、家族との別れ、社会的孤立といった問題が語られます。「被爆者」という言葉が長く人生に影を落としていたことが、本書全体から見えてきます。

仲間たちの証言が作品の厚みを作る

著者個人の半生だけでなく、「きょう竹会」を通じた仲間たちの証言も重要な要素です。同じ体験を持つ者同士だから共有できた苦しみや本音が、本書には断片的に残されています。単なる個人史ではなく、「原爆の子」世代全体の記録として読める構成になっている点が、本書の大きな特徴です。

『平和のうぶごえ』の特徴

文学より「証言の継承」に近い作品

本書は文学作品というより、証言記録に近いノンフィクションです。ただし、事実を羅列するだけではなく、「どう生きたか」に焦点を当てているため、読み味は比較的穏やかです。悲惨さを過度に演出する書き方ではなく、淡々と積み重ねる形式が採られています。

「ぼかした表現」に意味がある

本書は、差別や苦難を強い言葉で告発するタイプの本ではありません。ぼかした語り口でまとめられています。ただ、読み進めると、その背景にある痛みは十分伝わります。「被爆者」という烙印への恐怖は、直接的な表現以上の重さがあります。

『平和のうぶごえ』をいま読む価値

被爆者本人が書いた最後の世代の証言

被爆者世代は最晩年を迎えており、本人が自ら記す証言はこれが実質的に最後の機会となります。本書が戦後80年の節目に刊行されたのは、そうした切迫した背景があります。歴史資料ではなく、「いま生きている人間の言葉」として読める点が、他の原爆関連書籍にはない本書の価値です。

読書感想文全国コンクール課題図書

本書は2026年の青少年読書感想文全国コンクール(高等学校の部)の課題図書に選定されています。選定理由は、被爆の瞬間だけでなくその後の長い人生を描いている点、一次資料である付録が収録されている点、そして「平和についてさまざまな意見を持てる」テーマ性の高さです。高校生向けとして選ばれた本ですが、内容は十分に大人の読書に耐えます。

『平和のうぶごえ』を読む順番のヒント

本編から読んでも問題ありませんが、付録から読み始めると本編の理解が深まります。中学生時代の一次証言を読んでから本編に入ると、「あの少女がその後どう生きたのか」という流れで理解しやすくなります。戦後の差別や孤独も、単なる知識ではなく人生の延長線として見えてきます。

「命さえあればどうにかなる」は、いま生きる人へのエール

差別、病、貧困、喪失。著者たちが乗り越えてきたものは、原爆という特別な文脈に限りません。理不尽な状況に置かれながらも前を向き続けた姿は、時代や境遇を超えて響くものがあります。「あの日、私は生まれかわった」という言葉は、過去の記録であると同時に、どんな状況でも生き直せるという普遍的なメッセージでもあります。平和を学ぶ本としてだけでなく、生きることに迷う人へのエールとして読める一冊です。

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理解を深めるための資料

* 著者が被爆した場所(おおよそ)

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