人によって知ってる結末と、違うかも?
『おおかみと七ひきのこやぎ』は、残酷な原話をそのままに、芸術的な絵と名訳で仕上げた福音館書店の傑作絵本です。 知っているつもりで、実は知らなかった本当のグリムがここにあります。 本記事では作品の見どころ、特徴を未読者向けに解説しています。
作品紹介
あらすじ
「おおかみが来ても、絶対にドアをあけてはいけませんよ」お母さんやぎは、七ひきのこやぎたちにそう言い聞かせて、出かけました。ところが、ずるがしこいおおかみは声をかえ、姿をかえ、あの手この手でこやぎたちをだまそうとします。はたして、こやぎたちはどうなってしまうのでしょうか。
おもな登場人物
お母さんやぎ
子どもたちを深く愛する、勇敢で心強い母。
七ひきのこやぎ
元気いっぱいで無邪気な兄弟たち。
おおかみ
狡猾にこやぎたちに近づく、油断ならない悪者。
作品キーワード
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こんな人におすすめ
本作は、以下のような方に特におすすめです。
- 原作に近いグリム童話を読みたい人:改変の少ない展開で、民話本来の厳しさと教訓をそのまま体験できます
- 絵本を芸術作品として味わいたい人:構図や色彩、余白の使い方から視覚表現の深さを読み取れます
- 短時間で密度の高い読書をしたい人:簡潔な文章と強い因果構造により、短くても強い読後感を得られます
- 寓話や教訓のある物語が好きな人:善悪と報いが明確で、テーマを整理しながら読む楽しさがあります
- 昔読んだ物語を大人の視点で再解釈したい人:残酷描写や構造の意味を再認識し、新たな解釈を得られます
著者について
グリム│作
兄ヤーコプ(1785-1863)・弟ヴィルヘルム(1786-1859)の兄弟。ドイツ各地に伝わる民話を収集・編纂し『グリム童話』としてまとめた。
フェリクス・ホフマン│絵
(1911−1975)スイス生まれ。絵本作家・画家。『ラプンツェル』『ねむりひめ』など世界中で出版される。アンデルセン・オナーリスト賞を1960・1962年に受賞。
瀬田貞二(せた・ていじ)│訳
(1916‒1979)東京生まれ。児童文学者。評論・創作・翻訳の三分野で幅広く活躍した。翻訳の仕事では『ナルニア国ものがたり』『指輪物語』『ホビットの冒険』など、海外ファンタジーの名作を日本に紹介した功績は大きい。評論では『絵本論』『児童文学論』など、児童文学の発展にも貢献した。
出版社について
福音館書店は1916年に創設され、1952年に児童書専門の出版社として独立しました。「こどものとも」シリーズをはじめ、絵本の質の高さにこだわり続け、国内外の優れた作品を提供しています。『ぐりとぐら』や『魔女の宅急便』『エルマー』『だるまちゃん』など長く愛される児童書を出版しています。
作品解説
『おおかみと七ひきのこやぎ』とは│原作の忠実度
母やぎとこやぎたちに何が起きるのか
お母さんやぎが食べ物を探しに出かける際、七ひきのこやぎたちにおおかみへの警戒を言い聞かせます。しかしおおかみは巧みに変装を重ね、こやぎたちをだますことに成功します。帰宅したお母さんやぎは、子どもたちを取り戻すために勇敢な行動に出ます。はたして、こやぎたちは無事に救い出されるのでしょうか。グリム童話らしい、勧善懲悪の結末が待っています。
原作にどこまで忠実か
この福音館書店版は、グリム兄弟の原話にきわめて近い展開を採用しています。おおかみの変装の手口や、末っ子が難を逃れる場面、そしてお母さんやぎによる決断の場面まで、原話の骨子をほぼそのまま伝えています。現代の改変版では省かれることの多い「残酷な結末」が、この版ではしっかりと維持されています。
福音館書店版の特徴
抑えた色調と構図が生む緊張感
絵は、渋い配色と抑えた色調を基調としています。こやぎたちの無邪気さ、お母さんやぎの勇敢さと愛情、おおかみの狡猾さと獰猛さが、表情と構図から直接伝わってきます。
重厚なタッチ
明るく親しみやすいビジュアルが主流の現代の絵本とは対照的に、ホフマンの絵はクラシックで重厚なスタイルを持っています。グリム童話が本来持つ「恐ろしさと教訓」「生存の厳しさ」という雰囲気を損なわず、絵の力でそのまま伝えている点がこの版の大きな特徴です。
瀬田貞二訳の完成度
瀬田貞二の訳文はリズミカルで文学的な日本語として完成度が高く、声に出して読んだときの心地よさがあります。子どもへの読み聞かせにとどまらず、文章そのものを味わう楽しさも備えています。1967年の刊行以来ロングセラーとして版を重ねてきた背景には、絵と訳文が高い水準で組み合わさっているという点があります。
大人がいま読む価値
読み方のヒントと注意点
グリム童話本来の残酷な描写が含まれるため、そういった表現が苦手な方は注意が必要です。ただ、こうした描写こそがこの版の核心であり、命の重さを伝えるグリム童話らしさでもあります。読む際はホフマンの絵をじっくり観察しながら進めると、構図や表情の細かな工夫に気づきやすくなります。
なぜいまこの一冊なのか
長い年月が経つ今も読み継がれているのは、絵と訳文と物語がそれぞれ高い水準だからです。短時間で緊張・恐怖・安堵を体験でき、読み終えた後もしばらく心に残ります。ホフマンの絵は芸術性が高く、インテリアにも向いています。子どもの頃に読んだ方には再発見の一冊として、未読の方にはグリム童話の原点としておすすめです。
関連リンク
書籍詳細ページ
リンク先で書籍に関する基本情報をご確認いただけます。
書籍情報
- ページ数:32ページ
- サイズ:22×30cm
- 初版発行:1967年4月1日
- 対象年齢:4歳~
- 出版社:福音館書店
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