与えることの意味を、そっと考えさせる一冊
異なる場所で生きる者同士を描いた絵本『ねことことり』。やさしい物語を探している方に向けて。本記事では物語の見どころ、特徴をおさえ未読者向けに解説しています。
作品紹介
あらすじ
小枝を束ねて暮らすねこのもとに、ある日、ことりがやってきます。巣作りのため、枝を少し分けてほしいというお願いでした。ねこは毎日一本ずつ、小枝を手渡します。静かなやりとりのなかで生まれた時間と、その先に訪れる別れを描いた絵本です。
おもな登場人物
ねこ
山のふもとでひとり暮らしをし、小枝を束ねる仕事をしているシャム猫。
ことり
巣作りのため、小枝を求めてねこのもとを訪れる青い小鳥。
作品キーワード
●この絵本の特徴に合うキーワードです。
こんな人におすすめ
本作は、以下のような方に特におすすめです。
- 静かな物語が好きな人:派手な展開に頼らず、余白のある時間を味わえます。
- 動物が主人公の絵本を読みたい人:ねことことりの関係を通して、生きもの同士の距離感を感じ取れます
- 細密な絵をじっくり楽しみたい人:自然や背景の描写から、物語以上の情報を読み取れます
- 感情を押しつけられない作品を求める人:登場人物の気持ちを自分なりに解釈する体験ができます
- 大人も読める絵本を探している人:与えることや関わり方について、日常に引き寄せて考えられます
著者について
たてのひろし|作
舘野鴻。1968年神奈川県生まれ。絵本作家・生物画家。生きものの生態を深く掘り下げた作品で評価を得ており、『つちはんみょう』で小学館児童出版文化賞を受賞。
なかの真実(なかの・まみ)|絵
1984年神奈川県生まれ。絵本作家・イラストレーター。舘野鴻に師事し、自然や生きものを主題とした作品を多く手がける。『みどりのがけのふるいいえ』で絵本作家デビュー。
作品解説
『ねことことり』とは|出会いと別れを描く物語
物語の導入
森の奥で、ねこは毎日こぶしの木の小枝を束ねる仕事をしています。規則正しく、静かな暮らしです。ある日、その家を探しものをしているあおいことりが訪れます。必要なのは細い小枝が七本です。
描かれる関係性
ねことことりは、同じ場所に暮らしていません。互いの生活に深く踏み込むことなく、必要な分だけ関わります。その距離感が物語全体のトーンを形づくっています。
『ねことことり』の特徴と表現技法
細密で奥行きのある絵
本作の大きな特徴は、自然や生き物を丁寧に描き込んだ絵です。花々、森の奥行き、光と影の表現が重なり、ページ全体が一つの空間として成立しています。文章以上に、絵が状況や感情を補足します。
感情を説明しない語り口
喜びや寂しさを言葉で明示せず、行動や風景で示す点も特徴です。読み手が状況を整理し、自身の解釈を重ねられる余地があります。
大人が読む価値と読み方のヒント
大人向けのテーマ
本作は「与えること」「距離感」「期待と結果」を扱っています。見返りを前提としない行為や、相手に踏み込みすぎない関係性は、大人の生活にも通じる要素です。
読み方のポイント
本作は、出来事そのものよりも、余白(間)に意味があります。登場キャラクターの心情や関係性を断定せず、読者が補う構造です。そのため、読む立場や年齢によって受け取り方が変わります。
大人が『ねことことり』を読む理由
本作は、出来事自体は非常にシンプルですが、絵と構成によって多層的な意味を持たせた絵本です。日常の中で見過ごしがちな「十分であること」や「穏やかな関係」を再確認できる点に、この作品を大人にすすめる理由があります。
関連リンク
書籍詳細ページ
リンク先で書籍に関する基本情報をご確認いただけます。
『ねことことり』の書籍情報
- 定価:1,650円(税込)
- ページ数:32ページ
- サイズ:27.8 x 21 x 0.8 cm
- 初版発行:2022年10月05日
- 対象年齢:3歳~
- 出版社:世界文化社
続編
『あおいことり』の書籍情報
- 定価:1,650円(税込)
- ページ数:32ページ
- サイズ:27.8 x 21 x 0.8 cm
- 初版発行:2025年10月02日
- 対象年齢:3歳~
- 出版社:世界文化社
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