思い出は、かならず芽を出す
年老いたキツネと仲間たちの別れを静かに描いた絵本『いのちの木』は、死をこんなにも温かく語れる作品です。子ども向けに書かれたのに、大人が一番泣ける絵本。本記事では作品の見どころ、特徴を未読者向けに解説しています。
作品紹介
あらすじ
年老いたキツネが、森の奥で静かに眠りにつきました。悲しみの中で、仲間たちはキツネがやさしかったことや助けてもらった日々、いっしょに過ごした思い出を語り合います。すると、キツネが眠るその場所から、小さなオレンジ色の芽がやさしく芽吹くのでした。
おもな登場人物
キツネ
森のみんなから愛された、年老いたキツネ
こんな人におすすめ
本作は、以下のような方に特におすすめです。
- 大切な人を亡くしてから、気持ちの整理がつかない人:思い出を語ることで悲しみが和らいでいく過程を、追体験できます
- 死について考えるのが怖い、避けてきた人:重くなりすぎず、自然なこととして受け取れる語り口です
- 美しいビジュアルの作品を探している人:白とオレンジの色彩設計が印象的で、絵だけでも十分な満足感があります
- 自分の生き方や人間関係を見つめ直したい人:読後に「自分はどんな記憶を残せているか」という問いが生まれ、日常を振り返るきっかけになります
- 短時間で深く満たされる読書をしたい人:テキストは少なく、5分ほどで読み終わりますが、余韻は長く続きます
著者について
ブリッタ・テッケントラップ│作
ドイツ出身の絵本作家。ボローニャ・ラガッツィ賞をはじめ、国際的な賞を多数受賞。邦訳に『手と手をつないで』『いのちの木』などがある。
森山 京(もりやま・みやこ)│訳
(1929‐)東京都生まれ。児童文学作家。「きつねのこ」シリーズで路傍の石幼少年文学賞、『あしたもよかった』で小学館文学賞など、主要な児童文学賞を4賞受賞。作品多数。
作品解説
『いのちの木』とは|死と命を描いた物語
冬の森から始まる、静かな物語
舞台は、雪に覆われた冬の森。年老いたキツネが、静かに息を引き取るところから物語は始まります。死の場面は、ごく自然な出来事として、おだやかな空気の中で語られます。
悲しみの中で生まれる「語り合い」
残されたのは、キツネとともに生きてきた森の仲間たち。それぞれが胸の中にある記憶を思い出し、言葉にしていきます。物語は単純な悲劇ではなく、喪失と記憶の関係を丁寧に描く構成です。
『いのちの木』の特徴
ブリッタ・テッケントラップの絵
本作のイラストはブリッタ・テッケントラップによるもので、コラージュ的な質感と版画のような輪郭を組み合わせた手法が特徴です。スタイリッシュでありながら装飾過剰にならず、テーマの重さに対してちょうどよい視覚的なバランスを保っています。
白とオレンジのコントラスト
白い雪に覆われた冬の森を基調としながら、キツネのオレンジ色と芽生えた木のオレンジが画面に鮮明に映えます。この色彩の対比は、静寂と生命力、喪失と希望という作品全体のテーマを視覚的に体現しています。
大人がいま読む理由とポイント
喪失の痛みと、そのそばにいてくれる一冊
大切な人や存在を失った経験は、大人になるほど増えていきます。本作は悲しみを否定せず、かといって感傷に浸ることも強いません。ただ静かに、喪失のそばに寄り添うような読後感があります。
語ることが、記憶を生かし続ける
仲間たちが思い出を口にしていく場面には、「思い出を語ること」それ自体の力が込められています。言葉にすることで、失ったものがまた少し近くに感じられる。そのことを、この絵本はそっと思い出させてくれます。
何度でも開きたくなる、静かな強さ
「何度読んでも涙が出る」「読むたびに受け取るものが変わる」という声が多く寄せられています。幼稚園絵本大賞特別賞を受賞した作品でありながら、大人にこそ深く響くと評されることの多い一冊です。人生のどんな時期に読むかによって、見える景色が変わる作品でもあります。
関連リンク
書籍詳細ページ
リンク先で書籍に関する基本情報をご確認いただけます。
『いのちの木』の書籍情報
- 定価:1,540円(税込)
- ページ数:25ページ
- サイズ:252×252mm
- 初版発行:2013年9月
- 対象年齢:3歳~
- 出版社:ポプラ社
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