愛されることで本物になる
子ども部屋の片隅で忘れられていたビロードのうさぎが、ぼうやのかけがえのない友だちになる絵本『ビロードのうさぎ』。酒井駒子の柔らかい絵と抄訳が、1922年の原作に新しい命を吹き込んだ決定版です。本記事では作品の見どころ、特徴を未読者向けに解説しています。
作品紹介
あらすじ
クリスマスにぼうやへ贈られたビロードのうさぎは、すぐに忘れられ、子ども部屋の片隅に埋もれていく。けれど、ある時を境にその運命は変わる。うさぎはぼうやに愛されるようになり、すり切れ、色あせながらも、かけがえのない存在となっていく。
おもな登場人物
ビロードのうさぎ
ぼうやに贈られたぬいぐるみ。愛されることで変わっていく。
ぼうや
うさぎの持ち主。うさぎを心から愛し、片時も離さない。
古びたウマのおもちゃ
子ども部屋に長くいる賢いおもちゃ。うさぎに大切なことを教える。
こんな人におすすめ
本作は、以下のような方に特におすすめです。
- 子ども時代にぬいぐるみと過ごした記憶がある人:かつて一緒にいたものたちへの懐かしさと、愛おしい痛みを思い出せます
- 忙しい日常に心の休息を求めている人:10分ほどで読めて、読後の余韻が深く、静かな癒しを得られます
- 本物であることの意味を考えたい人:外見ではなく愛されることで本物になるという哲学的な問いに触れられます
- 大人向けの絵本を探している人:子ども向けと思いきや、大人こそ心の奥底まで揺さぶられる深い物語を体験できます
- 酒井駒子の世界観が好きな人:柔らかい絵と抄訳が生み出す、せつなくて温かい絵本の魅力を堪能できます
著者について
マージェリィ・W・ビアンコ
(1881-1944)ロンドン生まれ。30数点の作品を残す。
酒井駒子(さかい・こまこ)│絵・抄訳
(1966‑)兵庫県生まれ。オランダ銀の石筆賞、日本絵本賞、ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌賞など国内外で多数受賞。代表作に『よるくま』『ロンパーちゃんとふうせん』『金曜日の砂糖ちゃん』などがある。
作品解説
『ビロードのうさぎ』とは│愛されることで本物になる物語
心から愛されたうさぎ
クリスマスの朝、ぼうやの元へやってきたビロードのぬいぐるみ。一時は忘れられ、子ども部屋の片隅で静かに過ごします。そこで出会った古いウマのおもちゃから、「子どもに心から愛されたおもちゃは、子ども部屋の魔法でほんとうのものになる」という話を聞きます。やがてぼうやのかけがえのない友だちとなったうさぎは、すり切れてボロボロになっても、ぼうやにとっては「ほんとうのうさぎ」でした。
『ビロードのうさぎ』は何を伝えたいのか
作品のテーマは、「愛されることで初めて本物になれる」です。外見の美しさや新しさではなく、誰かに心から愛され、すり切れるほど大切にされることが本物になる唯一の条件。愛は喜びだけでなく痛みや喪失も伴いますが、愛された時間は無駄ではなかったこと、愛は永遠に命を与えるという希望を示します。
『ビロードのうさぎ』の特徴
主な翻訳版とこの版の違い
2007年にブロンズ新社から刊行されたこの版は、絵・抄訳を酒井駒子が手がけた完全オリジナル絵本です。他に、1922年発表の原作を翻訳した石井桃子版『ビロードうさぎ』(2002年・童話館出版)があります。
抄訳のアプローチ
原作の長い文章を大胆に圧縮し、1ページあたりの文字量を少なくしています。「子ども部屋の魔法」をキーワードに、感情がストレートに伝わる優しい現代語で構成されています。絵が語る部分を増やし、言葉で補う形をとることで、絵本として仕上げられています。
絵の表現手法
柔らかい色使いで、うさぎの表情や毛並み、ぼうやの愛情が細やかに描かれています。ビロードのうさぎの目が鮮やかな緑色で描かれているのがこの版の特徴で、全体に子ども部屋の優しい光が満ちています。石井桃子版が文学寄りの読み物なら、酒井駒子版は心で感じるビジュアル絵本として位置づけられます。
いま大人が読む価値と読み方のポイント
大人が読む意味と現代的価値
この絵本は子ども向けと思われがちですが、大人こそ心の奥底まで揺さぶられる作品です。忙しい日常の中で忘れがちな「本当の愛」と「本物になるということ」を、優しく、切なく、希望的に思い出させてくれます。
哲学的な問いかけ
「心から愛され、すり切れるほど大切にされたおもちゃだけが本物になれる」というメッセージは、モノや人間関係の本当の価値を静かに考えさせます。「自分は誰かを心から大切にしているだろうか」「大切にされているだろうか」と自分を振り返るきっかけになります。
いま読む理由
1922年の刊行から100年以上経った今も世界中で愛され続けているのは、大人になってからこそ本当に響く普遍の真理が詰まっているからです。子どもの頃に読んだ人は懐かしさで、大人になって初めて出会う人は深さに驚きます。たった10分ほどで読めて、読み終えた後の余韻がすごい。忘れかけた何かをもう一度思い出させてくれる、静かな夜にふさわしい一冊です。
関連リンク
書籍詳細ページ
リンク先で書籍に関する基本情報をご確認いただけます。
『ビロードのうさぎ』の書籍情報
- 定価:1,650円(税込)
- ページ数:36ページ
- サイズ:271×216mm
- 初版発行:2007年4月
- 対象年齢:6歳~
- 出版社:ブロンズ新社
石井桃子版
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