この記事は、やなせたかしの自伝『ぼくは戦争は大嫌い~やなせたかしの平和への思い~』を紹介しています。
アンパンマンの作者である、やなせたかしの戦争体験に焦点を当てた自伝です。彼は複数の自伝を発表していますが、戦争体験を詳しくまとめたのは、この本だけです。
※漫画では、ありません。
書籍紹介
概要
やなせたかしは、アンパンマンの作者であり、2013年10月13日に94歳で亡くなったマンガ家で詩人です。
大正8年生まれのやなせたかしは、昭和15年に召集を受け、小倉の野戦銃砲部隊に入隊し、その後、中国戦線に派遣されました。彼は終戦を上海郊外で迎えました。
戦争や軍隊生活を嫌いながらも、辛い中で楽しみを見つけ、持ち前の性格で乗り切ります。
目次
- 第一章 軍隊に入ってみたら、こんなところだった
軍隊がきらいなぼくが兵隊に/入営は高知ではなく小倉/勇猛果敢なる73部隊に入隊など - 第二章 決戦のため、中国に渡ることになって
ついに出陣の日が来た/陣地の穴を掘るのはお手の物/紙芝居で村々を回るなど - 第三章 ようやく故郷に戻る日が来た
戦争が終わってびっくり/ヤクザがぞろぞろ/自作のお芝居を上演など
アンパンマンの作者が伝える平和への思い
戦争の記憶を未来に
やなせたかしは、戦争も軍隊も大きらいで、思い出したくも語りたくもありませんでした。しかし、戦争の記憶が次第に忘れ去られつつある中、同じ過ちを繰り返させないために戦争体験を語り継ぐことに決めました。
軍隊に入隊して体験したこと、空腹に苦しんだ経験、戦後に実家で弟・千尋さんが戦死したことを聞いたことなど・・・。彼らしいユーモラスな口調で語られています。
この本は、彼が亡くなる数か月前に語った貴重な証言です。
アンパンマンの教え
ぼくは、戦争の原因は「飢え」と「欲」ではないか、と考えています。
腹が減ったから隣の国からとってこようとか、領土でも資源でもちゃんとあるのにもっと欲しいとか、そういうものが戦争につながるのです。引用元:『ぼくは戦争は大きらい』141ページ
アンパンマンが敵をやっつけず、お腹を空かせた人には自分の顔を分け与えるのは、「分け与えることで飢えも争いもなくせる」という思いが込められています。
やなせたかしはアンパンマンを通して、戦争の苦しみと平和への願いを遺しています。
やなせたかしの戦争(戦後)の証言
NHKアーカイブスにご本人が語っている8分程度の番組が無料で公開されています。
NHK朝ドラ『あんぱん』は、やなせたかしがモデル
2025年にやなせたかしをモデルにしたNHKの朝ドラ『あんぱん』が放送される予定です。この平和への思いもドラマで描かれればいいなと、個人的に強く願います。今から楽しみなドラマですね♪
同著者の書籍
詳しい書籍の紹介は、こちらからお読みください。
『やなせたかし明日をひらく言葉』は、複数のエッセイから名言を抜粋した一冊です。やなせたかしの言葉を手軽に楽しみたい方には、特におすすめです。⇒詳しくはこちら
やなせたかしの弟・千尋や、父、叔父のことを知りたい人は、『やなせたかしおとうとものがたり』がおすすめです。⇒詳しくはこちら
[エッセイ]やなせたかしの言葉に救われた私の人生
やなせたかしの言葉に救われた時を振り返ったエッセイを書きました。こちら(note)からお読みいただけます。
まとめ
やなせたかしの自伝は非常に読みやすく、元気がもらえる本です。気持ちが落ち込んでいる時に読んだことがありますが、読んだ後はなんだか気持ちが明るくなった気がしました。読書感想文にもぴったりだと思いますよ!